気分が乗らなかった。お相手は好きで好きでたまらないスクアーロなのに。
「なまえ…?」
「ご、ごめんっ。」
やっと想いが通じた、一ヶ月前。初めて抱き合った、三週間前。初めてキスした、二週間前。エッチしたいねって笑った、一週間前。スクアーロに押し倒された今日、たった今。
「悪い…急だったなぁ。」
「ううん。」
スクアーロになら何をされたっていい。それは断言出来る。だからそんなばつの悪そうな顔をしないでほしい。スクアーロが上から退く今、残念だなって思ってる。ただ、悔しいことに体が拒否するんだ。
「なんて顔してんだぁ。気にすることはねぇぞぉ。」
「…」
「俺はこれでいい。」
ばふっと布団を被せられたかと思うと、ぎゅうっと暖かい腕に抱かれた。布団越しでも伝わる熱いくらいの体温から、相当ヤる気だったことが窺える。これでいいなんて、嘘っぱちだ。
「スクアーロ、私したいんだよ。…これでも。」
当たり前。大好きなスクアーロの全てを受け入れたいし、もっと愛を感じたい。だけどスクアーロは完璧すぎた。ボスは認めないけど、これ以上優秀な部下はいないだろう。幹部の中で、これ以上隊長に向いている人はいないだろう。部下にとって、これ以上頼れる上司はいないだろう。そして私、女性から見て、これ以上良く出来た彼氏はいないだろう。そう、どうしてもスクアーロは私一人が独占していい人物ではないんだ。
「ならどうして…」
「スクアーロは、みんなのスクアーロだから。私が一人占めしちゃ駄目な気がする。」
スクアーロになら何をされたっていいと言ったけど、その逆は無し。私はスクアーロに何でもしていいわけじゃない。体を交えるのは贅沢すぎる。スクアーロはすっかり呆れたような顔で私の頬に手を当てた。
「なまえ、お前は誰のモノだ?」
「スクアーロ。私の全部、スクアーロのモノだよ。」
「そうだ。なら、俺は誰のモノだ?」
スクアーロは、…誰のモノ?ボス、幹部、部下、私、所有権はいったい誰が持ってるの?
「即答しろぉ。」
「だって、厚かましい。」
「馬鹿か。俺は、お前のモノだぁ。」
「…ホント?」
黙って頷いたスクアーロ。私が笑ったのと、再びスクアーロが上に乗っかってきたのは同時だった。
彼は、私のモノだ
首に残る痣は所有印。
100815
鮫たんのモノになりたい
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