目が覚めたのは嫌な夢をみたから。やっと寝られたと思ったのに。再び目を閉じると、先程の夢がフラッシュバック。これは到底眠れそうにない。仕方なくベッドから抜け出して部屋の扉を開いた。その先は当たり前だが廊下である。私は長く続く迷路のようなその廊下をノロノロと歩く。たどり着いた先は大きな扉の前。扉のデザインがどれも似ているので初めはよく迷子になったものだ。

「スクアーロ、起きてる?」

扉越しに部屋の主の名を呼んだ。いないかもしれない。いつもすぐに濁音の混じった声が返ってくるのに、今はそれがない。しかし諦めかけたその時、扉は控えめな音を立てて開かれた。

「ん゙…」
「ありがとう、寝てた?ごめんね。」

スクアーロの一言を“入れ”と勝手に解釈したけど、よかった。どうやら間違っていなかったらしい。スクアーロは気にするなと言った。しかし眠いのだろう。私を招き入れた後も、閉じかかった瞼を擦りながらベッドに潜り込んでしまった。迷惑極まりない行動だが、私も一緒にベッドへIN。そして怖い夢をみたのと告げた。

「スクアーロが別の女に笑いかける夢だった。あとスクアーロが私を殴るの、私がスクアーロを突き放すような場面もみたよ。」

私の考える最悪な結末が、何枚かの写真になってスライドショーみたいに流れてた。それはそれは怖くて悲しい夢。目を瞑るとまた思い出してしまう。

「心臓がね、痛いの。」

左胸をギュッと押さえてスクアーロの胸に頬を寄せた。キツすぎない大人っぽい香水と、髪に残るシャンプーの香りが心地良く鼻を掠めていく。その香りに酔いしれていると、スクアーロの手が私の頭を、頬を、押さえつけた左胸をそっと撫で、もう一方の手を背中に回した。チラリと顔を伺えば、瞳はとろんとしていて、正に夢の中と言った感じ。やわやわと胸を揉む手も背中を撫で回す手も、無意識なんだろうか。

「スクアーロ、エッチなことして、いい?」

多分聞こえていない。となれば、この手は無意識なんだろう。こんな夜中に訪ねてきた私が悪いんだ、怒ってなんかない。けど、私とスクアーロの関係がなくなる夢なんてもう真っ平だから。忘れたいの、忘れさせて欲しいの、この体で。

「ごめんね。」

プチプチと胸元のボタンを外し、ピンクの突起にキスをした。舌でグリグリ刺激して、洩れる色っぽい声を堪能する。それでも足りなくて、スクアーロの下半身に手を伸ばした。下着の中に手を入れて、握ったり爪で軽く引っかいたり。ピクンと跳ねるのが可愛い。いつの間にか無意識に動いていたスクアーロの手が、私の胸をしっかりちゃっかり愛撫し始めた。起きた、かな?

「ス、クアーロ…」
「邪魔すんなぁ、ねみーぞぉ。」
「ならその手退けてよ。」
「ゔお゙ぃ、無理だぜぇ今更。」

その後は夢の事なんて忘れてスクアーロといっぱい愛し合った。夢の俺なんて忘れろよっていっぱい言われた。いっぱいキスされた。いっぱい、いっぱい。


俺が他の女に靡く?なまえを殴る?ありえねーぞぉ
私も、スクアーロを突き放すなんて、絶対無理。


090703

寝ぼけ眼な鮫は極限に妖艶だと思ふ。


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