「今日ね、浮気する予定だったの。」

スクアーロの長い髪に指を通しながら、平然とそう告げた。スクアーロは眉一つ動かさない。ちょっと悲しいかも…

「嫉妬しない?」
「まさか。今なまえをぶん殴りてぇ。」

乱暴な言葉とは裏腹に、髪を梳く私の手を優しく握り、掌にちゅうっと柔らかなキスを落とす。

「何か似てたよ。スクアーロと。」

長身で、色の白い人。肩にかかる程度の長髪を鬱陶しがって、一つに結んでたっけ。白銀だなんて珍しい色ではないにしろ、太陽の光でキラキラと輝く綺麗な色…

「けど性格が全く違ったんだ。」

思い出したら笑っちゃう。正反対すぎたから。一言で言うなら、今日会った彼は紳士だ。車に乗る時は足下に気をつけてと諭し、降りる時はお手をどうぞと微笑む。ドアの開閉は勿論全て彼。正直、お姫様になれたみたいで擽ったかった。

「俺だと不満かぁ?」
「話は最後まで聞いて。だからボスに怒られるんだよ。」

やっと口を開いたスクアーロは、不貞腐れたような目で私を見ていた。言葉には出さないけど、これはスクアーロなりの嫉妬かな。ぎゅうっと苦しいくらい抱きしめられて、頬に銀がかかる。そう、この髪。じゃあホテルにでも行こうかとなった時、彼は束ねていた髪を解いた。サラサラと肩に落ちる綺麗な髪…

「あ、スクアーロのとこに帰んなきゃ。って、思ったんだ。」

それを見て、私何してたんだろ。とか、この人じゃない。とか、いろいろ考えたけど、気づいたら足はアジトに向かっていた。スクアーロに会いたくて、キスしたくて、抱かれたくて。

「浮気もさせてくれないなんて、酷い男ね。」
「知るかよ。それに、俺だってしちゃいねぇぞぉ。」
「しないのと、させてもらえないのとは違うでしょ?」

スクアーロの胸に鼻を押しつけて大きく深呼吸。この匂いが、私を何よりも落ち着かせてくれる。スクアーロの不器用な愛が、一番私の心を擽る。

「スクアーロ、しよ?」
「まったく、調子のいい女だぜぇ。」
「まだ怒ってる?」
「これでチャラだぁ。」

深い口づけと共に、スクアーロの体重が私にかかってきた。ベッドに沈めて、これ以上私を浮かせないで。


この気持ちが浮くことは一生ないんだけどね


それでも、スクアーロに押さえ込まれていたいんだ。



100131

鮫がいるのに浮気なんて、贅沢すぎる
贅沢通り越してバカ


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