「スクアーロ、寒い。寒い寒い寒い。」
「寒い寒いと言うから寒いんだぁ。暑いとでも言ってみろ。」

そこで暑いと言ったとして、暑くなるわけがない。何故なら、私達の体は長時間に渡って冷たい外気に曝されているから。季節はもうすっかり冬。任務とはいえ、この状況はかなり辛い。そんな中でもスクアーロは鋭い目を標的に向け、今か今かとチャンスを伺っていた。ガチガチと震えている私とは大違い。仕事熱心だなぁ。

「さっさとやっつけよ。あいつ一人だし、超弱そう。」
「ああ。俺だけで十分だ。寒いなら先に帰っていろぉ。」

標的めがけて一直線に飛び出したスクアーロ。その背中を眺めながら白い溜め息を吐いた。そんなこと言われちゃうと、帰りづらいでしょうが。






「一瞬だね。先に帰る暇すらなかったよ。」
「嘘吐け。」

遠目で標的をしとめたことを確認してからスクアーロに近づき、一種の褒め言葉をかけた。この時、スクアーロの鼻がいつもより赤いことに気づく。

「スクアーロも寒かったんだ。」
「当たり前だぁ。」
「ねぇスクアーロ。」

名前を呼んで、襟元引っ張って、強引にキスした。冷たい唇が触れ合う程度だったけど、私の体温はどきどきという心拍と共に上がっていく。スクアーロもそうだといい。

「帰ろ…っか。」
「待て。」

今度はスクアーロ。胸倉を捕まれ、冷たい唇を通り越して温かい舌が触れた。ちゅくちゅくと変な音が聞こえて、私の体温は跳ね上がる。次第に息も苦しくなり、吸い込む空気欲しさにスクアーロを押し返した。

「ばかっ!」
「寒くなくなっただろぉ?」

ハァハァと吐く息は先程より濃い白。体温はさっきと比べものにならないくらい上がっていて、目の前で微笑むスクアーロが憎らしくなった。

「…うん。あった、かいよ。」
「そりゃあよかったな。帰るぞぉ。」

何よ。スクアーロったら余裕な顔しちゃって!なーんて思ったけど、ぐいぐい私の左手を引くスクアーロの右手が、手袋越しでも伝わるくらい熱かったからまぁ、良しとしよう。



寒さも吹き飛ぶ君の愛



「スクアーロ、腕痛いよ…そんなに引っ張らないで。」
「なら速く歩け。帰ったら続きだぜぇ。」
「…え?」



091202

恋人設定…のつもり


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