原因が分かった以上、棒立ちしているのは時間の無駄。しかもその原因が死ぬほど馬鹿らしかったものだから尚更だ。

「ゔお゙ぃっ!くっだらねー話してんじゃねぇーぞなまえ!」
「あ、よく見たら私のダーリンだ!愛してるよー」
「スクアーロってなまえのダーリンだっけ?」
「俺も初耳だぁ。」

扉の前にいたことくらい知っていただろう。今更かよ…と二人揃って肩を落としたのは言うまでもない。そんな二人を無視し、さらに話は続く。

「任務とかで走り回ると胸が邪魔なの。肩紐とかチョー肩凝るし、カップとかズレると集中出来ないんだねー。」
「だからテメェの金で買えと何度も言っている。」
「いいじゃん経費でも!隊服は任務に必要だから経費で落ちてんでしょ?ヌーブラは私の任務に必要なの!!」

付き合っていられない。
報告書をザンザスの机にペシッと叩きつけ、踵を返すスクアーロとベル。しかし簡単に解放されないのが現実だ。なまえは二人もそう思うでしょ!?と話題を振る。

「王子に関係ないんだけど。」
「男だって大事な息子が決めた位置からズレると気になるでしょ?右が所定位置なら左に向いちゃった時とかソワソワするでしょ?」
「…否定はしないけど。」
「でしょ!!ほらボス!」
「何がほらだ、このカスが!!」

額に青筋を立てたザンザスは手元にあったグラスをなまえめがけて投げつけた。
ここはスラリと避け、とばっちりでスクアーロの頭に命中するのがお約束だろう。

「い、てぇ…」
「ああダーリンが!ね、ダーリンは私の言うこと、分かってくれるよね?」

確認の為に言っておくと、なまえとスクアーロは夫婦どころか恋人同士ですらない。なまえの勝手な妄想だ。

「あ゙?…でもなぁ…」

どうでもいい!と怒鳴ると思っていた。それはベルやザンザスも同じ。口元に手を置いて何かを考えているようなスクアーロに皆の視線は集中する。

「あの深夜番組でやってるシリコン下着だろ?あれ下から手入れらんねーし、何か色気に欠けるぞぉ。」

本人は似合わない冗談を言ったつもりだ。ベルも笑っている。それなのに、なまえは何を思ったか、ザンザスにやはり下着はいらないと伝えて嬉しそうに部屋を出て行ってしまった。

「よくやったカス鮫。」
「ししっ、なまえの奴変な勘違いしてるぜ?きっと。」
「ゔお゙ぉい!下着が何だろーとお前に手ぇ出す気はねーぞぉって聞けぇえええ!!!!」

誤解されては大変だ。スクアーロは慌ててなまえの後を追うが、もうその後ろ姿は見えなくなっていた。明日から待っているであろう猛アタックの日々を想像し、スクアーロは頭を抱え込むのであった。

090701

あれ便利そうだけど色気ないよね。


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