「寒くなってきたね。」

任務の帰り道。冷えた空気の中を歩きながらそう言った。太陽が出ていれば過ごしやすい気候かもしれない。だけど、こんな真っ暗じゃ、手足が冷えるだけ。

「もうすぐ冬だからなぁ。」

そう返したのは私の少し前を歩くスクアーロ。ずずっと鼻を啜れば、ガキくせぇなって笑われた。そんな笑顔が大好きで、この距離を縮めたいといつも思う。三十代から見て、二十歳そこそこの女はガキですか?この想いを、届けと願うのは無茶ですか?

「ほら。」

ファーの付いたコートを被せられ、きゅんって胸が鳴く。ああ、スクアーロの匂いがする。スクアーロの体温を感じる。

「スクアーロは寒くない?」
「ああ。今日は隊服だけで十分だ。コートなんていらねぇ。女は冷えやすいんだな。」

女扱いはしてくれてるんだ。ちょっと照れくさいけど、嬉しい。私の足首まで隠してしまいそうなコート。スクアーロは、こんなに大きいの。そんな体に、すっぽりと埋められたいよ。

「転けそう。」
「なまえにはデカすぎたかぁ?」

差し伸べられた手を、戸惑いながら掴んだ。スクアーロの右手から、私の左手に熱が移る。ドキドキして死んじゃいそう。スクアーロには、こんな気持ち絶対分かんない。

「おてて繋いで帰宅なんて、暗殺部隊の名が泣いちゃうよね。」
「そんな情けねぇ言い方するもんじゃねぇぞぉ。」
「ホント、情けないよ…こうして手を繋げただけで私、ドキドキするんだ。スクアーロはさ、大人だから、綺麗な女の人ともっといろんなことしてて、何とも思わないかもしれないけど。」

ぎゅって、強く握った。私の気持ちを知って、スクアーロが手を離さないように。寂しいでしょ?手、離されたら。

「なまえ、帰ったら俺の部屋に来い。」
「へ?」
「寒いなら暖めてやるぜぇ。」
「え…何言って…」
「お前も、もっといろんなことしてみねぇと俺の気持ち、分かんねぇだろぉ。」



君の本当の気持ちで
心がぼやっと暖まった




泣きたいくらい
心地良いスクアーロの熱



091109

私にあるまじき純愛


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