「ごめん。八つ当たりして…」

強く目を瞑った。頬を痛々しく染めたスクアーロを見たくなかったから。任務で作った傷でもなければ、ボスの暴力を受けた跡でもない。たった今、殴った。私が。

「い、ってぇ…ぞぉ。俺、何かしたかぁ?」
「違う…ごめん、ごめんね…本当にごめん。」

うっすら目を開いてみると、スクアーロはちっとも怒ってなくて、逆に心配そうな顔してた。赤く色づく頬に手を伸ばして、撫でる。その頬をさすればさする程、私の目からぽろぽろと涙が落ちた。痛かったよね。ボスには適わなくても、力一杯殴ったもの。

「ちょっとイライラしてて…でも、スクアーロに怒ってたわけじゃないのに…殴るなんて、私最低…ごめん、なさい。」
「…もっと早く言え。なまえのストレス解消には俺が適任だろぉ。」

優しく包む腕が、その一つであるように。声が、笑顔が、心音さえもが、私を宥める為にあるんだと、スクアーロは言った。

「でも本当にいてぇ。なまえもこの痛みを腰で味わいやがれ!」
「腰?」
「今晩は寝られねぇぞぉ。」

頬を押さえるスクアーロを見ると何も言えなくて。そうだな、セックスしたらイライラしていたことも忘れそうだ。

「私、三回はしたいなぁ。」
「三十路泣かせだな…お前…」

その晩、おまけ付きで四回してくれたスクアーロに、もう殴らないからずっと傍にいてと伝えた。殴られたっていてやるぜぇ!だって。この私泣かせが。



0901022

ストレス社会にこそスクアーロ


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