「フェラって気持ちわりぃよな、俺マジ女尊敬すんのそこ。」
「ベル、あんた女を何だと…」
「だってさ、なまえも正直嫌だろ?男の排泄器官舐めるとか。」
「嫌な言い方するね…でも愛する男のはOKなの。スクアーロとかスクアーロとか、んーあとは〜…あ、スクアーロとか。」
「全部一緒じゃん。」

今回幹部のベルとなまえは同じ任務を担当していた。実力の伴う二人、当然あっさりと任務を済ませ、今はアジトへと戻っている途中だ。暗い森をひたすら歩いていては暇にもなる。そんな時にベルがこうもとんでもない話をし始めたのだ。なまえは上手いこと話に乗ったが、周りの部下はドン引きである。

「今度俺のやれよ。平気なんだろ?」
「何故に命令形なのかな?私の愛する男リストは1〜100までスクアーロで埋まってるんだけど。101番目はボスだし。」
「はぁ?どこがいいんだよ。あんな男。」
「全部。スクアーロのならいつでも舐めたいくらい、いい男なの。」

スクアーロの顔を思い浮かべながら、なまえは悦に浸っていた。しかしそれもすぐに台無しになってしまう。ベルの一言によって。

「でもさ、なまえ全然相手にされてねーじゃん。」
「煩い!!…いいの、私がまだちょっと子供なだけだから。」
「俺よか二つ下だっけ?」
「うん、確か。」
「ふーん。その差は縮まんないのに想い続けてんだ。健気〜」

ぐさり。周りの部下にはそんなエグい音が聞こえただろう。ベルの言葉が、なまえの胸の深いところを見事に突き刺した。目に涙を溜めたなまえは歩幅を広く取り、見えてきたアジトの門へと急ぐ。

「うししっ、傷ついちゃった?ごめんごめん。」
「ベルの馬鹿、知らないっ!」
「あ、スクアーロ。」
「騙されないんだから!!」

ベルの指す方なんて見ない!そう言いたげになまえは下を向いたまま走り出した。門を抜けて間もなく、ドンッと勢いよく何かにぶつかるまで、ベルの言ったことは嘘だと思っていたから。

「ゔお゙っ!任務帰りのくせに体力余ってんじゃねーかなまえ。」
「わっ、スクアーロ!たたたただいまっ。」

ぶつかった反動で後ろに倒れそうになったなまえを助けたのはスクアーロ。それだけでなまえは舞い上がっていた。先程喧嘩したベルに感謝するくらい。

「遅かったな。おいベル、ボスが呼んでたぞぉ。また何かやらかしたんだろぉ。」
「げっ、身に覚えありすぎ。何がバレたんだよ…」

あれか?いやこれか…もしかしてあっちか?などブツブツとボヤきながらベルはボスの元へ走った。任務に出しておいてスクアーロに探しに行かせる辺りがなんとも言えないが、皆それが当たり前だと弁えている。残されたなまえはと言うと、まだ腰を支えるスクアーロにうっとりと見入っていた。ベルと話していたくだらない話も、こんな時に頭をよぎるので質が悪い。

「(スクアーロのなら本当に舐めたいなぁ。大きそうだし、そのまま襲われたりなんかしちゃったら私…私!)」
「なまえ?顔、赤いぞぉ…今日はもう休むかぁ?」
「休むくらいならスクアーロに奉仕したいなー、なぁんちゃって!」
「…はぁ?」

ハッと我に返ったなまえは硬直。頭が完全にそっちを向いていたせいもあり、脳内の本音がポロリと口から出してしまったようだ。ベルの部下はベルと共にアジトへと戻ったが、まだ残っていたなまえの部下は一斉に両手で顔を覆った。泣いているのだ。

「(なまえ隊長の馬鹿っ…)」

泣く部下を横目で見つつ、なまえも泣きたい気持ちでいっぱいだった。否、正確には泣き始めていた。やっと引いた涙はまた目に溜まり、頬は瞬く間に赤く染まってゆく。そんななまえを知ってか知らずか、スクアーロは嬉しそうに口を開いた。

「そりゃありがてぇ。なまえがいいってんなら、俺から頼みたいくらいだぁ。」
「!っええええ!!?」

一見話が成立したような会話。しかしこれには大きなミスがあった。

「(なまえのやつ…ボスにこき使われている俺を労おうとしているのか?ガキくせぇなまえのことだ。肩叩きならするーなんて可愛いこと言うつもりなんだろうなぁ。)」
「(嘘だっ!私のことガキ扱いしてたのに…ででも照れ隠しだったとか?もう我慢できねぇ!ってやつなのかな?そんなっ、そんなっ!)」

そう、二人の思惑は見事なまでに噛み合っていなかった。しかし部下には分かっていた。スクアーロの目、あれは娘に“私、パパのお嫁さんになるのー”と言われた父親の目だ。

「(なまえ隊長の馬鹿っ…)」

涙した部下は本日二回目の台詞を頭に浮かべた。その後、スクアーロに流されたなまえが肩叩きでご奉仕したのか、なまえに流されたスクアーロが別のご奉仕を受けたのかは、自由に想像していいと思う。



090903

ベルは下ネタ仲間、スクは父親位置。



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