一昨日も昨日も今日も明日も明後日も、仕事仕事仕事。体力はまだ大丈夫、頑張れる。でもね、もう心臓が痛いんだ。今週は何十人殺した?三桁くらいはいったかも…なるべく殺さないようにしてるけど、限界があるんだよ。私が殺さない分はその任務での相方が頑張ってるんだから。主にスクアーロが。

「ごめん、スクアーロ。」
「気にすんなぁ。明日の任務も、俺の相方はなまえだ。気を抜くんじゃねぇぞぉ。」
「!…またスクアーロと?ここんとこずっと一緒じゃん。」
「不満か?」
「そんなこと、ないけど。」

主にスクアーロというのは訂正しよう。全てスクアーロなんだ、私を庇うのは。最近の任務は全部こいつが相方。あのボスは何を考えているんだろう。

「明日も、多分迷惑かける…」
「ま、俺の剣技にでも見惚れていろぉ。すぐに終わらせてやる。」
「怒んないの?」
「…もう、嫌なんだろぉ。」

どくんっ その音を最後に、心臓が止まったのかと思った。嫌じゃないけど、もう人を殺めたくないと心の隅で思っている。暗殺者として失格だけど、ヴァリアーを脱退すれば会えなくなるもの。

「嫌じゃないよ。ちょっと、スランプってやつで…」
「なら、もっと悔しそうな顔をしろぉ。今のなまえは泣きそうだぞぉ。」

分かってたんだ。スクアーロは優しいから。相方になることが多いのも、きっとボスに頼んでくれたんだよね。どこまでも私に甘いんだから…

「ごめん。」
「一日に二度も聞きたくねーよ、そんな台詞。」

そっけなく言うくせに、抱きしめてくれる。そっちこそ、暗殺者失格じゃない?そう思っていても、私はスクアーロの優しさに縋ってないとやっていけないと思うんだ。








「ん、っあ…」
「なまえ、なまえっ」
「っな、に?」
「もうちょっと、しっかり掴まっておけ。」
「んっ」

そう言ってスクアーロは私の腕を掴み、自分の首にかけ直した。こうして抱かれる度に思う。自分は最低だ。人を殺めるくせに、人の体温をこうも愛しく感じるなんて。凄く後ろめたい気持ちで、心臓が潰されそう。

「…よくないかぁ?」
「そんなこ、とな いっ」

スクアーロとするセックスは凄く好き。誰よりも何よりも、嫌なことを忘れさせてくれるから。この人がいなくなったら、私はどうするんだろう…最近はそんなことばかり考えるようになり、繋がっている最中も時折表情を曇らせていた。そんな細かいところにまで気づくスクアーロが憎くて、愛しい。

「っね、ぇ…ヴァリ、ア辞め たら、もう会えな っいかな…」
「ぁ゙あ゙?俺とヤってる時に余計なことを考えるな。まだ余裕だって言いてぇのかぁ?」
「違っ ひゃっ あ、んっ」

耳元で聞こえた。低くて、いつもよりちょと凄んだ声が。


俺から逃げられると思うな。


脱退なんて夢のまた夢だそうで。もうしばらくは任務の度にスクアーロが頑張ってくれるらしいから、ゆっくり身の振りを考えよう。きっとこの心臓が罪悪感で潰れた時、私はスクアーロの背中を守れる力を手に入れるんだ。


090824

守ることでヒロインを繋ぎ止める鮫。



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