どんな男の人が好き?そう聞かれたら、アナタはなんと答えますか?
「スクアーロ。」
「なんだぁ?」
「私が好きな男の人。」
「よく言うぜ。」
私は必ずこう答えます。それが本人に伝わっているかどうかは分からない、分かりたくない。だから、こうしてはぐらかされる日々を嫌ってはいない。でも、悲しい。女心なんてのは複雑に出来ていて、矛盾という壁にもぶつかる。とても厄介なものなんだ。
「スクアーロはなんて答える?どんな女の人が好き?って聞かれたら。」
「なんて答えたら、お前は満足するんだぁ?」
「なんでもいいよ。それがスクアーロの本心なら。」
嘘だ。本当は自分の名前を言ってもらいたいのに。私と正反対の、可愛くて守ってあげたくなるような子、なんて言われたらどうするんだ。
「体の相性がいい女。」
「ちょっと雄剥き出しじゃん。」
「なんでもいいと言ったのはなまえだぁ。セックスして萎えるような女、願い下げだぜぇ。」
下品な男だと言ってやりたい。けど本心では大人だなと思っていたから、口が動かなかった。そうだよ、好きなタイプを事細かくズラズラ並べてるようじゃ、駄目。結局、セックスが良けりゃそれでいい。男は特にそうだ、と思う。そこから生まれる愛だって少なからずあるのだから。
「じゃあ好きでもない女と、エッチしてから決めるんだ。」
「嫌な言い方すんじゃねぇ。顔が良くて性格もそこそこの女とシて、捨てるかモノにするか決めるんだぁ。」
「最低にも程があるだろ。」
人間は顔より中身だなんて良く言ったものだ。中身なんて目に見えない形のないものだから、いくらでも作り出せるし隠せる。本当に隠せないのは外見で、化粧なんかで隠したって、何となく分かってしまう。となれば、最低と蔑んでみたものの、スクアーロの言う好きな女のタイプは尤もだと言える。
「なんなら、なまえもシてみるかぁ?」
「捨てられるのが落ちだね。」
「謙遜すんなよ。」
スクアーロの手が、私の頬に伸びた。抱かれたいけど捨てないで欲しいなんて、矛盾してる。さっきは尤もだと肯定したくせに。だから、言わない。いいよなんて、絶対に。
「俺は、なまえを抱いたらモノにしたいと思うだろうなぁ。」
「根拠は?」
「勘だぁ。」
「残念、鮫の勘ってきっと当たらないよ。頭悪いらしいし。」
「なんとでも言え。頭悪いやつほど勘で生きてんだ。」
根拠も確信もない
それでも黙って抱かれてろ
「ご感想は?」
「決まってんだろ、合格だぁ。」
090817
素直に好きだと言えない鮫さん
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