ザーザーと降り注ぐシャワーは私の体を冷やさず暖めず、熱くもなく冷たくもない。それは任務後の汗を流すのに一番適した水温だと思う。側にある浴槽では、たぷたぷと湯が小さな波を立てている。シャワーの次はこれにダイブするんだ。肩まで浸かって疲れを取るも良し、ぷかぷか浮いて時間を忘れるも良し、さてどうしたものか。

「えへ、迷うなぁ。」
「随分とご機嫌じゃねーか、なまえ。」
「うん!…え?」

自分の世界から引き戻された気分。ソロリと振り返れば予想通り、否当然とも言える人物が開かれた扉に背を預けてこちらを睨んでいる。

「誰のバスルームだぁ?」
「…す、スクアーロ、さんの。」
「だろぉーなぁ。」

そう、ここはスクアーロの自室にあるバスルーム。今日は姿が見えなかったから、遠征任務でも入ったのかと思ってたのに。いやちょっとした出来心なんだよ。どんなシャンプー使ってんのかな?とか、浴槽はやっぱりバカデカいのかな?とか…まぁシャンプーは見たことない銘柄で、浴槽は一人用とか嘘だろってぐらい広かった訳だが。

「勝手に使ってごめん…あーゴメンナサイ。」
「分かればいい。」
「ありがと、そして出ていってくれるかな?」

スクアーロの自室(の中にあるバスルーム)とは言え、こちらは全裸なもんだからかなり恥ずかしかったりもするわけで、年頃の女が男性にこんな姿晒しちゃいかんだろって話。

「私“出ていって”って言わなかった?何服脱いでんのさ。」
「俺も今から使おうと思ってたんだぞぉ。先に使いやがって。」
「は?だからって…」

隊服の上着と中のシャツだけを脱ぎ、ズボンが濡れるにも関わらずスクアーロはバスルームに入った。慌てて近くにあったタオルで体を隠してみたが、それはすぐに意味を無くす。

「なまえも意外に鍛えてんだなぁ。」
「ちょっと見ないでよ!」

タオルはあっさりとはぎ取られ、私は羞恥のあまり頬を染めて背を向ける。スクアーロはと言えば、何が面白いのか口角を上げ、男性にしては細長いその指で私の背中を撫でた。

「ひっ!」
「ゔお゙ぉい!こんな時はもうちょっと女らしい声を出すもんだぜぇ?」
「何言ってんの!?」
「教えてやるよ、声の出し方くらい。」

強く肩を引かれ、背を向けたはずのスクアーロと向き合った。頬は一段と赤くなった気がする。その頬に両手が添えられ、しばらく見つめられた後にキス。脈が速まる。拍車をかけるかのごとく深くなる口づけに、私は耐えきれず膝を折った。

「…やっ、ん。」
「なまえでもちゃんと出るんだなぁ、そんな声。」

私に合わせてタイルに膝をついたスクアーロはまたキスを落とす。彼の胸に手を添えてしまったのは場の雰囲気に飲まれただけだと信じたい。その間もシャワーは降り注いでいて、乾いたスクアーロの長い髪を濡らしていった。

「っは、苦、しい…」
「じゃあ、キスは止めてやる。」

あっさり解放されて安堵したのも束の間、今度は胸の突起にチクリと痛みが走る。痛みの次はゾクリと背筋が震えた。舌を這わされ、耐えきれずスクアーロの頭を抱き抱えるように掴むと、スクアーロも応えるかのように、私の脇下から腕を回し肩胛骨を撫でる。

「んっ…あ、あ、っ」
「指入れるぞぉ?」
「!や、下は駄目っ」
「無理だぁ。」

無理なのはこっちだ。未だに舌を好き勝手に這わされて、その上、下半身にまで手を出されて…悔しい。その時、ふと目に留まったベルトのバックル。私は腰を屈めてそれに手を伸ばした。

「なんだぁ?乗り気じゃねぇか。」
「優しさ、よ。スクアーロも苦しいんじゃないかと思って。」

水分を含んだズボンを脱がすことは難しかったので、ジッパーを下げて下着をずらす。出てきたモノの質量が予想を越えていたこともあり、自然と腰が後ろに引いた。その腰を左手でがっしり掴んだスクアーロは、また口角を上げる。

「ゔお゙い、逃げんなよ?」
「…う、ん。」

本当はちょっと逃げたくなったけど、右手で刺激されているソコが熱くて諦めた。体がピクピクと反応する。それに気付いたスクアーロは膣を掻き回していた指をスルリと抜いた。

「もういい、だろぉ?」
「たぶん…」

もう一度、スクアーロのモノにチラリと目をやる。いいわけないけど、腹を括るしかないのだ。その時、キュッと音を立ててシャワーが止んだ。スクアーロの手が蛇口に伸びている。

「ね、ここで?」
「ベッドまで行く余裕ねぇよ。」

私を太股に跨がせ、一度強く手を握った。手袋をしたままの左手はやはり硬い。ゆっくりと腰を降ろし、先からスクアーロを飲み込んでいく。セックス自体は初めてではないのに、痛い。

「ひ、あっ…んーっ」
「っ!いつからシてねーんだぁ?狭すぎる、ぞぉ。」

スクアーロのがデカいんだよ!って言ってやりたかったけど、褒めるような言葉を言うのはやっぱり悔しくて口を堅く閉じた。しかし奥に進めば進むほど、声を出したくて唇が緩む。

「あっ、あ き、もち いっ」
「もっとヨくしてやるぜぇ?」

スクアーロが体勢を変えようと動いた時、ビクンッと体が大きく跳ねた。最近誰ともセックスしていなかったのも事実だし、久しい、しかも今まで感じたことのないような刺激に私のナカが耐えられなかったんだろう。

「は?バカ!もうかよ!」

きゅうっと締まった膣に圧迫され、スクアーロは顔を歪めながらズルリと自身を引き抜く。同時に吐き出した白濁の液は私の太股にかかったけど、その大半をタイルにこぼした。

「はえーだろぉ…」
「スクアーロだって!」
「なまえがイくからだぁ。」
「うっ…」

再びシャワーを出してお互いに汗や体液を流す。そういえば、私とスクアーロってどういう関係になってしまったんだろうか。同僚ではあるが、恋人ではない。セックスはしてしまったが、気持ちは知らない。

「なんか、切ない。」
「何がだぁ?」
「スクアーロのこと、分かんないよ。」
「俺は好きだぞぉ、なまえのこと。」

え?


「と、とりあえず浴槽に浸かろう」
「俺のだけどなぁ」
「じゃ、じゃあ、一緒、に」



090721

外人は浸からないって本当ですか?

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