それは全て些細なことが切っ掛けだったりする。例えば上司に理不尽な理由で怒鳴られたり酒に酔った時など、日常生活で珍しくもないこんなことが時に引き金になったりするもんだ。

「スクアーロはならないね。」
「は?」

しかし例外だってある。私の恋人であるスペルビ・スクアーロは余程忍耐と理性の強い生き物なんだろう。理不尽すぎる理由でボスに暴力を振るわれ罵られ、毎日のように体を痛めているにも関わらず私には優しく、そしてアルコールに負けた姿を見せたこともない。

「狼にならないねって話。ストレスが溜まると男は性欲が増すんでしょ?スクアーロってストレスの塊みたいなのにね。」
「ゔお゙ぉい!貶してんのかぁ!?」
「褒めてんの。」

愛を育む為のセックスは勿論するし、満足しているけれど、一度くらいは狼とやらに好き勝手抱かれてみたいと思う。レイプ願望ではなく、愛する人の好きなままにされたいという意味で。セックス中に、好きにしていいよとスクアーロに言っても優しく微笑むだけだから。

「ホント良く出来た人…じゃなくて、良く出来た鮫だね。」
「やっぱ貶してんじゃねーか!」
「貶してないよ、嫌味だもん。」

今だって、珍しくスクアーロが私の部屋に来て一緒に寝ようと言うから期待していたのに本当に寝ようとする始末。傲慢なんて名ばかりで、近頃流行っている草食系男子に近い。

「拗ねるなよ、何怒ってんだぁ?」
「…人より鮫に食われたいなぁって思っただけ。」
「抱けってか?」

でも今日は駄目なんだとスクアーロは言う。今日は駄目ってなんだよ女の子の日なの的な断り方しやがって!気分じゃないならそれでもいいけど、些か腑に落ちなかったりもする。

「あ、年のせいで性欲落ちてきちゃったんだね!」
「なまえ…卸されてぇかぁ?」
「冗談なのにー」
「逆だ、バカが。」
「え?」
「…あ゙。」

いいこと聞いたと言わんばかりに、私はスクアーロの上に跨った。態と性器に当たるように腰を下ろせば、スクアーロは強く目を瞑って小さく唸る。やめろとか、本当に駄目だとか言ってるけど聞いてやるもんか。何だかんだ言っても愛あるセックスは気持ちいいし、好き。頬に軽いキスを何度か落とした時、私の視界は逆転した。いつも通り、スクアーロが上に…

「いつも通りだと思うな。」
「…は?何言ってっ」

あれ?これは夢なんじゃないだろうか。あの草食鮫が、こんな荒々しいキスをしてくるなんて。痛っ!舌噛まれた。これはアレか?憧れの狼さん?だとしたら、こいつは何を引き金にこうなった?何も思い当たらない。

「ちょ、っと!スクアーロ!」
「うるせぇぞぉカスが。」

舌の痛みに腹が立ち始め、制止を試みるがあっさり失敗。退けさせようと伸ばした腕を捕まれ、自由までも奪われてしまう。スクアーロは唇から首筋、鎖骨、胸へとキスをしていくが、“キス”より“噛みつかれている”に近い。そして今更だけどドS?あんたドSなんですか?太股を撫で回していた手が遠慮なしに下着の中に侵入し、弄ぶように刺激を送る。

「っ!あっ、すと、っぷ…や、んっ…」
「あ゙あ゙?誘ったのはなまえだぁ。俺は止めたぞぉ?」
「でも、っ…ちょ、と…」
「せいぜい喘げ。」

この後は、なかなかスクアーロのを入れてもらえなかったことと、入れた後確実に2〜3発もしくはそれ以上はしたかなっていう曖昧な記憶しかない。気付いたら朝で、可愛い顔したスクアーロが横で寝ていた。本当に夢だったんだ、そう思って視線を体にを移せれば痛々しい赤い痣が散らばっていて、よく見れば血の出ている箇所もある。

「す、スクアーロ?」

肩を揺すればスクアーロはすぐ目を覚ました。けどニコリと微笑んで、なんだぁ?と言うだけ。何だと聞きたいのはこっちだ。昨晩のスクアーロは一体何だった?狼とかそんな可愛いものじゃなかった。

「いやね、あの…昨晩の…」
「ああ、悪かったなぁ。」

スクアーロ曰く、たまにあること、らしい。きっと日々のストレスをため込み、それを発散する日なんだろう。こんなになるなら週1もしくは月1くらいで発散してもらいたいものだ。

「何で部屋に来たの?そんな日に一緒に寝ようなんて自殺行為じゃん。」
「…理性持ちそうならシようかと思っ「理性の理の字もなかったけど?」
「っ!なまえが誘うからだぁ!!」

頬を染めるスクアーロはまるで別人。私は思わず笑ってしまった。


やっぱり肉食鮫でした
引き金は私?



090719

狼スクもいいよね。

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