「マゾヒストなんだ、私。」
酒の入ったグラスをクルクルと回しながらなまえは真面目な顔で言う。カラカラと氷がグラスに当たって良い感じの音がした。
「そーかよ。」
「あらやだ、そんだけ?」
「なまえがマゾでもサドでも俺には関係ねぇからな。」
コトン、なまえが残りの少なくなったグラスをテーブルに置く。スクアーロはそのグラスにまた酒を注いだ。もう何本開けただろうか、二人でかなりの量を飲んでいるがお互い外見から酔った様子は窺えない。スクアーロは不思議に思っていた。なまえはこんなに酒に強かったか?と。顔に出ていないだけかもしれない、現にいきなりマゾヒストだと言い始めたのだ。酔いは確実に回っている。
「関係、あるよ。」
先程まで空いていた人一人分の間隔を埋めるように、なまえはスクアーロに寄り添った。可愛らしく首を傾けるが、長身のスクアーロの肩には届かない。
「私ね、スクアーロに抱かれたいの。だから、好きなプレイの話でもしておこうかと思って。」
「なまえ、悪酔いしすぎだぁ。部屋に戻れ。」
当然なまえは嫌だと言った。それどころか自ら衣服のボタンを外しにかかる。スクアーロは慌ててその手を取ったが、正直迷っていた。抱いてもいいのかもしれない、が、なまえは可愛い妹分なのだ。男と女の関係を築くことに問題がないにしろ、妹を犯す兄の気分であることに違いはない。
「知ってるよ、スクアーロが、私を妹みたいに可愛がってくれてること。でもね、私、いつまでも妹でいたくないのよ。もう子供じゃないの。」
「…そうか、そうだな。」
他の男に渡すくらいなら、自分が汚してしまうのも悪くはない。スクアーロは拘束していたなまえの手を解放した。
「ほら、脱げよ。」
驚いたような、喜んだような、そんな表情でなまえは頷き、衣服を剥いでいく。マゾヒストだと言っていたから、ちょっとは苛めてやろうかなんて考えながらスクアーロはその様子をぼんやり眺めていた。そして思っていた以上に育った体がやけに色っぽくて、胸を痛める。
「スクアーロも、脱がせてあげる。」
「…ああ。」
恋でない愛情で
君を抱く俺を許してほしい
090715
スクに抱かれるならそれでいい。
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