次郎部屋 | ナノ
「次郎、寝るなら俺のとこ来いって言ってんだろ」
「何言ってんですか飛鳥先輩」
起きたらイケメンどアップ。
しかもなんかアホくさいことを言ってる。
さっきまで中庭で寝てたのにどうやらここは生徒会室に設置してある仮眠室。
「俺が運んだ。嬉しいか?ん?嬉しいよなァ、次郎」
いえいえ全く。
なんて言わずに微妙に笑えば飛鳥先輩はにやりと笑った。
仕事を頼まれて二回くらいでどうやら飛鳥先輩は俺をペットと思い始めた。
餌をくれる。寝床をくれる。
くれるっていうか問答無用で与えられる。
「んーー」
まぁいいんだけどね。抱き枕としてはこのひと本当にたまらないほど良いから。
分厚い胸板に頭をぐりぐりとおしつければくつりと飛鳥先輩が笑う。
「甘えただなァ?次郎」
「自分から腕枕しといてよく言いますよ」
起きたら俺の頭の下には飛鳥先輩の筋肉質な腕。
もう慣れた。
最初は飛び上がって後ずさってたけど逃げてもねちっこく俺を甘やかそうとする飛鳥先輩だから。
「なんかやなことでもあったのかァ?ん?」
それにとことん甘やかそうとするこのひとは無駄に敏い。
「んーーーー、ちょっとだけ」
「そうか、んじゃ寝て忘れろ。得意だろ?」
濁せばそれ以上追求してこない。
そんなところまで甘い。
「ほんと飛鳥先輩って。」
まるで親みたいだ。
そんなこと言ったら年寄り扱いしたって勘違いされるだろうから言わないけど。
「あ?俺がなんだ?」
「なんもないです。仕事したらどうなんですか」
「今してんだろ、子育て」
わしわしと髪を撫でられ、頭にキスされる。
「あすか、先輩、起き、ても、そばに……」
いてくれたら嬉しいなぁなんて。
寂しくてしょうがない最近をこの人が埋めてくれる。
襲う睡魔に抗うことなんてせずにゆっくり目を閉じれば額に柔らかい感触。
「悩殺ものだよなァほんと」
なんていう飛鳥先輩の声は届かなかったとおもう。
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