次郎部屋 | ナノ

クリスマス





「サンタさん、来るかな」


俺を抱きしめたまま善ちゃんがつぶやく。くぐもった声はのんびりと俺の耳に届き、なんだか安心した。


「さぁどうでしょ」


あやすように背中を撫でれば善ちゃんが俺の髪の毛をくしゃくしゃとかき混ぜる。


「次郎が俺のサンタさんになってよ」


「善ちゃん、精神科いく?」


善ちゃんとは思えぬセリフに思わず目をまん丸くしてしまった。


いやに真剣な顔をした善ちゃんが顔を上げ、ゆっくり笑う。

なにかを企むような笑顔さえとても綺麗。


「キスマーク付けさせてよ。次郎。」


それがプレゼントでいいから。


そういった善ちゃんは俺の返事を待たずにスウェットを捲り上げた。


「は?え、なにして……っつぅ…」


ちゅう、と可愛いい音が聞こえ、脇腹らへんにピリリとした痛み。


また変なところにつけますなぁ。


「そこ着替える時みえるじゃん」


「見せないように着替えてね」


「理不尽……」


何度か吸い付かれた脇腹には真っ赤な花が何個も咲いていた。


満足げに唇をなめた善ちゃんは、スウェットをもとにもどしてまた俺を抱きしめる。


「知ってる?キスマーク見られるのちょう恥ずかしいの」


「よかったね」


いや良くねえわ。


余裕をぶっこいた態度にすこしムカついて。目の前にみえる善ちゃんの白い首筋を見てにんまり笑った。


「……っいった…っ」


がぶ、と音を立てて噛み付けば善ちゃんがすこし呻いた。
あ、楽しい。


がじがじとなんどもなんども噛み付いてそこを見れば何重にもなった噛み跡。


「これで善ちゃんも仲間だね!せいぜい恥ずかしい思いすれば……んっ…ちょ…っ」



「煽る次郎がわるい」


善ちゃんのキスって優しいんだけどねちっこいんだもん。俺酸欠になっちゃうよ。


文句も言わせてくれないキスをかまされながらクリスマスイブはふけていったのでした。