次郎部屋 | ナノ

クリスマス





ゆっくり善ちゃんの髪の毛に手を伸ばした。

染めてんのかな

地毛かな

聞けばいいのに聞かないのはどっちでもいいと思えるくらい似合ってるから。

善ちゃんが黒髪でも、茶髪でも、何色だって。

このひとならどうにでも魅せることができるんだろうなぁ。


これだからずるい。


くしゃくしゃと撫でると善ちゃんもくしゃくしゃと俺の頭を撫でた。


「次郎の目は優しいから」


そんなこと初めて言われた。
眠そうとか言われるけど。


「そうなの?」

「甘えたくなる」


善ちゃんが?

聞き返しそうになってやめた。
そっか、こんなひとでも甘えたいとかあるのか。そうなのか。

そしたらそれを受け入れられればいいなと思う。


「クリスマスくらい子供になってもいいんじゃないんですか」


そういってへらりと笑えば「何様」と小突かれた。


「まだ子供だよ、俺たち。
サンタさんには来て欲しいしケーキだって食べたいし。
だからいいんだよ」


なにがいいんだろう

自分で言いながらよくわからない。もしかしたら眠いのかもしれない。


だから何様なの


そう言って笑った善ちゃんの顔がゆっくり近づいて。


「…ん」


すごく自然に。よくわからないまま唇が重なった。


触れただけのその感触はゆっくり何度も可愛らしい音を立ててキスを繰り返し、また離れた。


「…え、なにしてんの」

「キス」

「わかるけどさ」


わかるけどさ。


「俺まだ子供なんでしょ?だから我慢しなくていいんでしょ?」


「いやいや何言ってんの」


俺の顔を覗き込んで、なぜか優しい顔になった善ちゃんは俺を抱きしめる。



「次郎顔真っ赤」


「うるさい」