次郎部屋 | ナノ


クリスマス





「最近は同性同士のクリスマスもあるらしいですよ」


アナウンサーが喋る。
どっとつられるように笑う周りの芸能人。

なにか面白いことなんだろうか、現にこうして男同士でコーヒー飲もうとしてるんですけど。


「最近は男同士で遊園地とか普通ですもんね」

「付き合ってたりして!」


また笑う。
それは嘲笑なのかなんなのか。
もしも本当に付き合ってたとしたらそれは失礼だと思うんだけど。


「次郎チョコとイチゴどっちがいい?」

「チョコ!!」


なんか嫌悪を覚えてテレビを思わずけしたところで善ちゃんがトレーをもってこっちにきた。


テレビけしたの?

と不思議そうな顔をする善ちゃんに一回頷いてトレーに手を伸ばした。



「サンタさんくるかな」

「さあね」

「つまんないの。こう言っとけば毎年なんか届くんだけどな」


コーヒーを口元に運びながらちらりと善ちゃんを見上げると善ちゃんはまた微妙な顔をした。

なんなのさ、さっきからその表情は。


「まさかと思うけど次郎、女の子にもプレゼンせびったの?」


「せびってなんてないよ。あっちがくれるの」


毎年俺のサンタさんは可愛い女の子たちだ。


「で、次郎は?」


「俺がプレゼントするかって?あぁ、その可愛いサンタさんに感謝を込めてキスくらいはしてるよ」


善ちゃんはまた微妙な顔をして「最低」とつぶやく。

あーあ、去年もその前の年も、クリスマスといえば女の子と一緒だったのに。


「美味しい?」


でもそんな不満もちょっとずつ消えていく。やっぱり居心地いいからな善ちゃんは。


「うん、おいしい」


口の中でほろほろくずれるチョコケーキは思ったよりとても美味しくて自然に口角があがった。