次郎部屋 | ナノ

クリスマス





「なにって、遊んでよー。というか寒いから中に入れてくださいな」


そう言いながら体をすべり込ませれば善ちゃんはふかくふかくため息をついた。

どうやら寝ていたらしい。制服のまんま。いつもは閉まってる第二ボタンがあいて、ネクタイが緩められてるから謎の色気が放出されている。


風紀委員忙しいんだね。大変だ大変だ。


「うわ、相変わらず綺麗」


役員は一人部屋。しかも広くて綺麗。居心地いいからだいすき。


「で、なにしにしにきたの?」


「えー?クリスマスイブじゃん。さみしかったから来たの」


だめだった?と首をかしげれば微妙な顔をされた。

テーブルの上には書類みたいなものがいくつかあって、善ちゃんが役員なんだと実感した。というか仕事中だったのか。それはわるいことをしてしまった。

「ふ、なんでそんな顔するの次郎。」


ずいぶん情けない顔をしていたらしい。破顔した善ちゃんがそっと俺の手を掴んで引っ張った。


「飲み物コーヒーしかないけどいい?」


「うん」


引っ張られ、肩を押されるようにして座らされたソファ。
座り心地のいいそれになんでもよくなって背もたれに懐いた。


キッチンからカチャカチャと食器をいじる音がしている間、なんとなく善ちゃんがつけたテレビがとても賑やかで


そっか今日イブじゃん


なんて忘れていたことをまた思い出させる。