次郎部屋 | ナノ


出発前の







「は…っ、はぁ、」


うわぁぁぁ恥ずかしい


死にたい死にたい死にたい


善ちゃんがベッド脇のティッシュを何枚か抜き取る音がいやにリアルに耳に届いて死にたくなった。


伊賀のみならず善ちゃんにまでこんな痴態を…



こんなん見てたのしいの善ちゃん

あーわかんねほんとわかんね



「善ちゃんごめん」


一応あやまっとこ

手よごしちゃったわけだし。

残念なことに達するくらいには気持ちよかったわけだし。


「ううん、むしろありがとう」

これ以上ないくらい甘々な笑顔。
思わず息を飲んでしまった。

ありがとうって、

変態さんですか



善ちゃんはその笑顔のままベッドからおりた。


なんだか焦ってるように見えたのはなんでだろうか。


「善ちゃん?」


「トイレ行ってくる。
察してね」



その言葉に思わずぶわぁっと顔が熱くなった。


察してね、って


それって、それって


でも俺だけいい思いしてそれはどうかと思う


なんかこう、申し訳ないというか


足早に歩き出した善ちゃんの服の端をぎゅ、と握った。


「なに?」


笑顔ながらも焦った顔をした善ちゃんに胸がツキンとした。


「手なら、いーよ別に」


口はごめん多分むりだ。

なにより球技大会のアレで随分トラウマってるみたいだし。


善ちゃんは目をまんまるくしたあと、苦々しい顔をした。

「煽るのやめてくれない?」


「煽るとかじゃなくて!
申し訳ないんだってー

だから手くらいならお貸ししましょうかと思いまして…

あ、でも俺の手は嫌とかなら全然いーんだけどさ」


そう言うと善ちゃんは苦々しい表情をさらに苦々しくした。