次郎部屋 | ナノ


ねむねむとソファに顔を埋めた桐生。俺の言葉なんて耳にも入ってなさそうなところがまたうざい。


ソファを移動して、同じソファにごろりと転がる。


「こっちこないでよ」

「うるさい」


だまれ、うるさい、なんなの、意味がわかんない。
うつぶせに眠そうな桐生に顔を近づければ、柔軟剤の匂いがした。お日様みたいな。


キャラは作ってたつもりはない。
でも無理はしていたかもしれない。

抱いてくださいって寄ってくるチワワに強気に出ることもできずヤって、自己嫌悪に陥ってその子にも冷たくしてしまうこともあった。

自己嫌悪のループで、結局和樹ちゃんがお友達になってくれたって親衛隊と体の繋がりを断つことはできなかった。


目の前の黒髪をくしゃりと指に絡ませる。猫っ毛のくせに指通りがいい。触り心地がいい。


(はきだしてもいいって)


(愚痴ってもいいって)


いい子を求められた実家でも、

チャラチャラヘラヘラを求められたこの学園でも、そんなことを言われたことはなかった。


だからなのかなんなのか。

(同属嫌悪?)


冗談じゃない。


こんなのが同属でたまるか。