次郎部屋 | ナノ
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「童貞くさい」
やけに赤い唇が紡いだ言葉に、思わず間抜けな声が出た。
というか、めちゃくちゃイライラする。
薄い笑みはひとを小馬鹿にしてるし、こてんこてん首を傾げて話をろくに聞こうともしない。
あと話し方がのんびりしててうざい。
うざい。
うっざい!!
同属嫌悪だこれ。絶対そう。
「チャラ男のイメージつくんのも大変ですねえ」
「君に何がわかんのかなぁ」
「わかりたくもないですねえ」
ふ、と笑いながらそういう目の前の人を無性に殴り飛ばしたいなんておもった。
和樹ちゃんと違う。正反対だ。
『俺がお前の友達になってやる!』
『だからセフレなんてやめろよ!!』
そう言って俺を受け入れてくれた和樹ちゃん。
なのにこいつはヤりたくなきゃヤんなきゃいいでしょ、とかあーーーもう!
むかつく!
思いっきり睨みつけると垂れた目がさらに垂れた。
目に沿った二連のほくろもいっしょに垂れる。
「でもつらいなら人に言うくらいいいんじゃないですか」
我慢しなくてもいいんじゃない?
またこてんこてんと首を傾げて、黒目が黒蜜みたいにとろりと垂れる。
そんな言葉に出かかった罵倒の声が喉でつっかえて、
なんか、わかんないけど、
「君ほんとうざい!!うざい!!うざいうざい!!」
わかんないけど溢れた。
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