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どこからが嘘で、どこまでが本当なのか。
どうしてわからないのだろう。他の何がわかっても、それだけは。
受け入れることも突き放すこともなく、結局オレ達はまたいつものように言葉を交わす。
それが一番いいのかもしれない。
けれど、身体は思うように動いてくれなくて。
昔から近くにいたはずなのに、あいつが側にいる間中ずっと気にしてなきゃいけない。
それなのにあいつは当たり前のように笑っていつものように話す。
本当は、好きじゃなくてもいいなんて嘘なのに。
嘘つきなオレ、素直なあいつ。
バラバラなオレ達に、確かな未来なんてなかった。


「泉はよーっ」

「はよ」

「あり?なんか機嫌悪くね?」

「・・・んなことねーよ」

「ふーん・・・?」


何でもないと言ってもまるで信用していないらしい田島。オレってそんなわかりやすいのかな・・・。
否定しながらも、本当は機嫌悪くないとは言えないオレ。
その原因は明確なのに。言葉にできない。

当たり前のように朝練を終えて、教室に行けばあいつはいる。
避けているわけではない。避けたいわけでもない。
ただ何かが違っていて。どうしてか前みたいに話せない。
オレがどうかしたということではない。
あいつが変なんだ。
朝声をかければすぐに目を逸して。ミーティングの日も何かと用事があると別々に帰っていた。ふざけんなよ、嘘だって気付かないと思ってんのかよ。


「なまえ」

「、こーすけ」


あ、今のイラッときた。
なんでこいつこんなよそよそしいんだよ。
何かしたっけ、と考えてみても思い当たる節はない。だいたいから、こんな自問自答に意味なんてないのだ。オレは今までと何一つ変わったところなんてないのだから。
こいつに気持ちを伝えた後だって、これまでと何ら変わりなく接している。そんなつもりになっているだけとか、曖昧なものじゃなく、それは確かだ。その自信はある。
だとしたら、変なのはこいつ。


「なあ」

「なに、」

「あー・・・いや、うん、何でもない」


駄目だ。そう諦めるのは早かった。
あまりにも素っ気なさすぎて、こんななまえ見たことなくて、そんな必要ないのにこちらがたじろいでしまう。
どうしたものかと悩んでいるうちにチャイムは鳴り、次の授業の準備をしていないことに気付いた泉は慌てて席へと戻っていった。

泉が背中を向けた後、なまえはゴチンと額を机にぶつけた。
こつん、なんて可愛らしいものじゃない。ジンジンと額に痛みを感じる。
ぎゅう、と片手で思いっ切りスカートを握り締めてみた。
拳が小さく震える。スカートがしわくちゃになるくらい寄せられているのがわかる。
不機嫌な泉の顔が頭から離れない。
クラクラする。鈍い痛みが広がっていく感じ。
やるせないもどかしさが身体中を占めていく。
ああ、もう。何なんだ。


「サイアク・・・」


頭が重い。
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