日記 | ナノ
趣味趣向




「…」
「…」
「……」
「……」
「跡部」
「ん」
「学校戻らなくていいの?練習は」
「とっくに終わってる。外見ろ、真っ暗じゃねーか」
「ああ、そう」
「……」
「……でもここに居座る理由は」
「てめーがここに居る。それで十分だろうが」
「あ、そう」
「アーン?文句でもあんのか?」
「そうは言ってないけど、あまり氷帝の生徒がここに来ていたら、周りに示しがつかないでしょう?」
「はっ、そりゃあ良い。てめーのその完璧主義な壁を壊してやるのも悪くない」
「誰が完璧主義よ」
「それ以外の何者にも見えねえな」
「私はこの立海大を、全生徒の手本となるべき存在よ。学校を守るためにやっていることだから」
「ハッ……理事長の一人娘で、生徒会長で…確かに十分な理由だな」
「共感でもしてくれたの?」
「いや、おまえらしい。だが、そうして身体を痛めつけて何が楽しいのかは理解できねえがな」
「誰もそんなこと…」
「右手でペンを握っているのは何故だ?利き手が腱鞘炎になりかけるほど、何時間この部屋で書類と向き合い続けた」
「…うーん、さすが」
「俺様に見抜けないとでも思ったのか?」
「だから跡部って苦手」
「光栄だな」
「喜ぶ意味が分からない」
「誰にでも愛想振り撒いているてめーになら、そう言われるのも悪くない」
「…ふふっ」
「あ?」
「何だかやる気削がれちゃったなぁ。今日はもう帰ろうかしら」
「ああ、ちょうど外に車を待たせてある」
「…お見通しってわけ?ほんと、やな人」
「ハッ、てめーこそ」
「跡部」
「あ?」
「好きよ」
「心にもねえこと言ってんじゃねえよ」
「言ってほしいのかと、思って」
「いずれはな。今は苦手な奴で良い」
「そう。ふふ、素敵な人」
「当然だ。俺様を誰だと思っている」
「はいはい」


掴めない奴と掴ませない奴
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -