たっぷりとした溜息がひとつ。震える下唇を撫でながら抜け落ちたそれが、濃い空気を絡め取りながら肩へと這い上がった頃、余りにも従順なまでに褐色の上に身体が落ちた。「腹上死」金糸が不規則にほつれる首筋に唇を寄せ、弾んだままの呼吸の合間に一言だけを押し付ける。少しばかり緩やかに上下する厚い胸板が、折り重なる身体を持ち上げながら体力の差をまざまざと見せつけてくる。「それは男の俺の役目だろ」「零の最期には力不足よ」腿を這う手の平に僅かに身を捩れば、明日の朝に上がるであろう筋肉の悲鳴を予兆した。「俺はそれでも良いと思ってるよ」そう言って目を細める彼は、私の上なんかで死ぬような男ではない。死ぬとしたら、そうだ。「…そうね、それも良いのかも」地に崩れ落ちる彼の姿が過ぎり、思わず薄く開いた口元に舌を寄せる。貴方が守るものの上に堕ちるなら、いっそ私の上で死んでしまえばいい。私だけを見て、私だけを愛して、満たされながら死んで欲しい。「そう簡単には死なせてあげないわ」「骨が折れそうだな」貴方が死ぬのは、私が貴方を殺した時だけだもの。







公式から降谷零としての一人称が出る前に書いたものです。







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