「だめだ、やっぱり納得いかない」

「ちょっとー何が不満なのよ」

「お互い試験教科全般ほぼ平均点以下でいい感じに争ってたのに なんで音楽だけ87点なんだよ!」




っていうか校歌の配点が70点ってどんだけ割合しめてるんだよ!ツナは教室の後ろ側に寄せていた机を一つ一つ持ち上げ、一定の距離をあけて並べていく



「私がどれだけ音楽という教科にかけたと思ってるのよ!あたしの作戦勝ちだからね」

「音楽の歴史問題は散々だったけどなー」

「うっ‥」

「それにテメェは音楽にかけすぎだろ。英語16点ってお前…ただのバカじゃねーか」

「うぅ‥」

「えっ16点!?千愛ちゃん俺には47点ってあんな自慢げに‥」

「47点は俺なのなー」

「‥お前47点で自慢したのか」

「ちょ、言っちゃだめだってあれほど…!ま、なんと言われようとツナとの勝負は私の勝ちだからね」



黒板を雑巾で端から端までいったりきたり水拭きをしながら千愛はツナに向かって満足げに勝利宣告をする。そんな千愛を横目で見ながら俺は集めたゴミを箒でまとめ 獄寺は花瓶の水を入れ替えている



「千愛テメェ偉そうに言ってんじゃねー!平均点以下の争いで十代目に勝ったと思うなよ!…問題文が読みづらかっただけだ」

「獄寺くんフォローになってないよ…」

「ははっ!まあいいじゃねーか」



勝ちは勝ちだし罰ゲームどーすんだ?千愛に問いかけるとうーん、と考え込む千愛の顔がツナを見ながら徐々にニヤついていて ツナの顔が引きつりだしてきた。



「内容によっちゃあぶっ飛ばすからな」

「隼人は物騒すぎ」

「愛なのな、愛」

「な‥!ちょっ、山本なんてこと言うんだよ!愛なんて込もってないから」

「何を言うんですか十代目、俺は十代目に愛を込めて接していますよ!そうしないと右腕として務まりませんからね!」

「獄寺くんもなにノっちゃってるんだよ!」

「‥」

「‥」

「そこも振っといてなんで引いてるんだよ!」





ツナのツッコミを完全無視し「んーじゃあ決めた!」と挙手するように片手を上げる。その千愛の目は教室に入る夕暮れの日差しのせいかどことなく輝いたようなイキイキとして見えた





「じゃあ今日から1週間、部活18時に終わるから皆で一緒に帰ろうよ」


終わるまで学校で待たせちゃうことになるけど、楽しそうに笑う千愛を見ながらツナはキョトンと拍子抜けしたような視線を向ける



「そんなのでいいの?」

「うん!あっ、待ってる間は担任の雑用を自ら進んでやること」

「絶対メインそっちじゃん!」

「十代目!俺も手伝いますから」

「愛だね、愛」

「ツナ愛されてるのなー」


「ああ‥もうそうだね、俺 すごく愛されてるよ。」




「はあ」とため息混じりに肩をすくめるツナと楽しそうに笑う千愛を交互に見ながら、俺はひとまず笑うことにした。





(この関係がずっと続きますよーに。)

(夕焼けの太陽に願って)







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