ふわりと風が吹けば花びらと供に春を連れてくる。


屋敷の少し離れた所にある自分の身長ほどしかない小さな花畑。ここに最後に訪れてからどのくらいの月日が経っただろう



今は君が好きだったパステルカラーの花が唄うように風に揺られ咲いている。





青年はポケットの中から白い封筒を取り出すと 先ほど借りたライターに火を灯しそれを近づけた




「十代目…このままでいいんですか!?」


「‥もう、終わってしまった話だから」



チリチリと燃えだした光が白い封筒を侵食しツンと鼻につく臭いが刺激する。




あれから1年が経った。

俺らは再び巡り会うことなくただ季節だけがあの頃の俺らを過去にした。



本当は俺の隣に千愛がいて欲しかった。千愛の隣に俺は居たかった。

だけど俺らはもう これからを歩きだしたから




あの頃の2人には
もう戻れないけど、


今の俺は 君の好きだった笑顔で上手く笑えているだろうか





黄色の傘の中で
君はいつまでも笑顔のまま




見上げた空は青海が広がり 風に緑がなびいた



(少しの間でも 君を幸せに出来ただろうか?)



傘をさす君はもういない





ずっと心配かけたね。


だけどもう大丈夫だから



俺のこと想ってくれて、守ってくれて


ありがとう。






離れてても、俺も貴女の幸せを願っています。





手紙の封は誰の手にも触れられないまま、白い煙りとなって青空に溶けた。



sorry love.
(僕のごめんは届きましたか?)




from.
サヨナラだけの人生

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