いつもの朝にいつもの日常。
私は決まった時間に家を出る


理由は簡単 学校に行く為だ








いつもの道に変わらない顔ぶれ

同じ時間帯に同じ場所をみんな目指してるんだから顔ぶれが変わる訳がない


変わるとすれば自由気儘な天気ぐらいだ







大きな家の横を通って本屋の2台並んだ自販機の前を通りすぎる




あそこの角を曲がれば ほらやっぱり


煙と共に銀髪の彼が居た








彼は、彼と同じクラスの気の弱そうな男の子と爽やかそうな男の子2人と待ち合わせをしているようで彼がいつもきまって一番乗り

煙草やシルバーアクセサリーをじゃらじゃらと付けていかにも不良そうなのに、意外にも誠実な一面もある彼



その彼の横を通って行くのが私の日常だ






私は彼と同じクラスではないし共通の友達もいない、会話もしたこともないから名前だって知らない。
(それはきっとお互い様)




名前は友達が教えてくれた気がするけど興味もなかったので耳を通りすぎてしまった。








彼の横を歩く瞬間

初めは通るだけだったけど時々目が合うようになった。それは毎度の事になり、目線もそらさなくなった







「‥‥はよ」

「…うん。おはよう」





今は名前も知らない彼と挨拶をするようになった




それ以上も、それ以下もなく












今日も変わらない日常が始まった


私は決まった時間に家を出る





(この角を曲がれば)



今日も彼はいるだろう







「あ‥‥‥」




いつもの角を曲がった先に
銀髪の彼はいなかった






「‥いつもならもう居るはずなのに」





今日は寝坊でもしてしまったのだろうか

それとももう学校に行ったのだろうか






彼がいつも居るであろう場所の横を歩いていく





今日はえらく車の音が耳に入り私を抜いて通りすぎる人に意識が向く



今まで聞く耳ももたなかったはずなのに妙に音が五月蝿く感じる









10代の頃のなんとも言えない瞬間、
これも人生で見ればほんの僅かな出来事かもしれない。
けど





私の目は、耳は、
何かが物足りないようだ








いつもの待ち合わせ場所



横をチラリと盗み見てもあなたの姿は見当たらない




私の日常に、あなたはいなくなった







あなたは何処にいったの?
あなたは今何をしているの?
あなたの名前は‥?





今まで気にすることもなかったのに、どうやら自由気儘な天気と共に


いつの間にか私の気持ちも変わってしまったようだ















あ、思い出した


「…獄寺くんだ」





恋い焦がれる時間

私はこの時間の過ごし方を
まだ知らない







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