「千愛どこの席になったー?」
「あたし34だから窓際の後ろから2番目!たけしはクジ引いた?」
先ほど引いたばかりの紙切れを広げ 書かれている数字と黒板に記された数字を再度見直した
「ああ、俺は22だから真ん中あたりなのな」
「ゲッ、山本が俺の後にくんのか…」
「おっ、じゃあ獄寺に勉強教えてもらえんなー!」
「誰がてめえに教えるか!」
着々と新しい席順が決まっていく教室内 歓喜の声や悲鳴にも似た叫び声で響き渡る中
俺も実は心中穏やかではなかった
千愛と席が離れちまったのなー
まあ獄寺と席が近いぶん楽しくなることは保証されてるだけまだ良いとして、
いやでももし千愛の隣に男がきたら嫌だなー女子がいいな女子が。
ベストは笹川だけど、そんな都合良くいくだろうか?いやいやそういえば笹川はもうクジ引いた後じゃなかったか?
どーにかなんないかな。 つーかクジ引いてないのはあと誰だ?
「あっ俺、千愛ちゃんの隣だ」
「ホント?ツナくんよろしくね!」
あははと笑い合う2人 周りが見ても和やかな雰囲気を漂わせるのを横目で見ながら冷や汗が浮かんだ あーこれは盲点だったのな。
‥そっかそっか、隣はツナか
けど、見方を変えればこれも好都合なのな
「ツナ悪りぃ。席交換しねえ?」
「えっ、うん。いいけど…」
「山本てめえ!10代目のお席を奪うつもりか!!」
「ははっ、いいじゃねーか」
「獄寺だってツナが後ろのが都合いいぜ?なぁ?」
「…………チッ」
「ええええ引き下がっちゃうの!?」
ツナのツッコミも虚しく獄寺は俺の提案にまんざらでもなさそうだ
「山本くん‥いいのかな。こんなことして」
これじゃクジ引く意味ないんじゃないのかなと心配そうに見つめる千愛 小さな罪悪感がチクリと胸を痛めながらも
人差し指を千愛の唇に当てて秘密な!と言わんばかりに口を塞いだ
(千愛の隣は俺がいーの)
耳元で囁くと千愛はずるいと言いながらも真っ赤に頬を染めるから
俺は千愛の傍を離れられなくなるんだよな
君の隣は俺のもの!
(山本って意外に独占欲強いんスね)
(…そうだね、)
(まあそれのお陰で10代目の前列をゲットしました!)
全力でお守りします!!と意気込む彼に、期待してると乾いた笑顔を贈ることにした。
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