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(あと、ちょっと)

前を見れば先生が次の試験の範囲を事細かに説明を行い周りを見れば必死に書き写す生徒

今にも潰れそうな瞼を擦り､あくびを必死に噛み殺した

(あと､もう…ちょっと)

先生が教卓の前で今日のまとめと次の授業の予告を始めた

(3､2､1…あ違った)

(5､4…!)

｢あ､｣

ｶｳﾝﾄﾀﾞｳﾝも虚しく数え終わる前に待ちにまった鐘の音が鳴り響いた

授業の終わる鐘と同時に騒ぎ出す教室内

生徒の中には弁当を広げる者や教室から出ていく者、待ってましたと言わんばかりに雑誌を囲みあれやこれやと意見交換をしている者もいた

そんな私は我慢することなくあくびをしながら教科書をゆっくりと閉じ机にうつ伏せになった

｢ねぇ千愛ちゃん､最近眠たそうだけど大丈夫?｣

ちゃんと寝てる?と心配そうに隣の席から首を傾げてくる京子ちゃん。

やっぱり可愛いし優しいとくればﾓﾃる理由に納得がいくものだ

｢うーん最近眠れなくて｣

｢そっかぁ。寝不足は肌に良くないから､寝る前に暖かくしたりお茶飲んだりすると良いって聞くよ!｣

それじゃあね!と言って席を離れた京子ちゃんを見送りまたうつ伏せになろうとすると

前に影ができた

｢やっぱり京子ちゃんは優しいし可愛いな｣

｢綱吉が好きな女の子なだけあるね｣

｢千愛はﾎﾝﾄ面白いこと言うな｣

目の前の影を作る張本人に憎まれ口を叩いたが､見る限りﾀﾞﾒｰｼﾞはないようだ

｢なに千愛､寝不足なの?｣

｢…綱吉には関係ない｣

｢千愛ちゃんは可愛くないなー｣

｢ちょっ…!｣

｢十代目ー早く行きましょうよ～!｣

何か言い返そうと口を開いたが言葉を紡ぐ前に綱吉を呼ぶ声に今行くよと返事をする声

足を踏み出した綱吉だったが､不意にこちらに振り返りなんとも言えない笑みを浮かべた

｢…いつも言ってるじゃん。
俺の側に居てくれって､そしたらぐっすり眠れるかもね。｣

じゃあ行くね。いっぱい俺の事でも考えといてね

笑って立ち去る彼の姿を
見送ることが出来なかった

眠れないのは何のせい?

(もしかして考えすぎて眠れないのかな)

歩きながら真っ赤になった千愛の顔を思いだし口が緩むのをこっそり隠した

｢可愛い奴｣

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