ジコチューとキングス・クロス駅 [ 6/16 ]
「お嬢様!私めがお嬢様と離れるなんて!」
「クレア、お願いだからそんなひがまないで」
クレアは本当に屋敷しもべ妖精なの?トーノがいつも思っている事だが今日はより一層疑問に感じた。
トーノの中ではドビーの印象が強いからかクレアに自分にとても懐いているのにどこか納得できないのだ。
いつもなら好きなだけ相手をするのだが今日は別だ、なぜなら…
「クレア本当にごめん!もう駅に行かないと!」
今日は9月1日、ホグワーツの入学式の日だ。
今の時間は午前10時56分、発車時間は11時あと4分しかない。
「ああ!57分になった! お願いクレア連れって!」
「ずずっ、お嬢様、かじこ、まり、ヒック、ましだ」
パチン
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11時10分、ホグワーツ特急
コンパートメントの中に騒々しい少年と赤髪の少女、そして黒髪の少年がいた。
「スリザリンなんて入るか!むしろ退学するよ、そうだろう?」
つまりは例の少年、ジェームズと
「たぶん。俺が伝統を破るだろう。お前は選べれられるとしたらどこに行く?」
シリウスなのだが。
リリーの心情は最悪だった、唯一の姉妹のペチュニアには「生まれぞこない」と言われ、憎まれるし。同じコンパートメントには【いやなやつ】がいるのだから。
ついに耐え切れなくなってリリーはセブルスをつれて別のコンパートメントに移動しようと思って立ち上がった。
「セブルス、行きましょう。別のコンパートメントに」
「オォォォォォ……」
ジェームズとシリウスのつんとしたリリーの声真似でさらに彼女の機嫌は急降下した。
「まーたな、スニベ「ごめん!ココ空いてる!?」
しかし異国の花の香りを纏った少女によってリリーの顔はかすかに高揚したのだ。
__________
え、え?なにこの空気。はじめはキョトンとしていたトーノだが、突然新たな人物が現れて驚いている4人を見てようやく自分がした失敗に気がつくのだ。あの場面かよここ!
「おまっ、」
「久しぶりシリウス、クリスマスパーティーいらいかな?レギュラスは元気?」
「あいつならこの前風邪ひいt、って知らねーよ!」
だがしかし、どんな状況でもすぐに反応できるのは長年の経験か。トーノはいつもの【仮面】を被り話し始める。
「トーノ?」
「こんなに早く再会するとは思わなかったよリリー、セブルスも変わりなさそうで」
「あ、ああ」
スネイプがすでに制服に着替えているのは敢えて突っ込まない。ほら、私って空気読めるから。(このコンパートメントに突撃した時点で読めてないのだが…)
「あれ?そっちはポッター家の子かな。初めましてだね」
「どうもどうも初めまして、所でキミはなにものだい?見たところあの【泥沼一族】の子に見えるけど」
【泥沼一族】その言葉をきいてリリーは首をかしげた、ローレン家が純血一家なのはスネイプから聞いたけどそれは初めてきく言葉だったからだ。
またシリウスもその言葉に反応した、お前…それこいつには禁句だぞ。
以前自分もトーノにそれを言った事があったが… その後ひどい目にあったのだ、シリウスが。
「ポッターが言っているのがローレン家のことならそうだよ、私はトーノ・ローレン」
トーノはなんの反応もなく言った。シリウスはハァーと溜息をついた、よかったあんな風にならなくて。
ジェームズはつまらなさそうにして舌打ちをした、彼としては面白い反応を望んでいたからだろう。
「ねぇ、リリー、セブルス、別のコンパートメントに行くんでしょ?私も行くよ」
「え?」
「こんな小蝿のような人達と一緒じゃ嫌でしょう?」
「なっ!?」
にっこりとした笑いのままトーノ言った
「ああ、むしろ小蝿に失礼だね。ホントこの人と同じ血が流れているなんて吐き気がする」
「トーノ?あ、ちょっと待って!行くわよセブ!」
やっぱ怒っていた、シリウスはトーノの暴言に固まっているジェームズに哀れみの目を向けるのであった。
「俺の時のほうひどかったからな」
「・・・きみも言ったのかい?」
「ああ・・・」
言葉よりもトーノが向ける視線のほうが怖かった、あの伝説の生き物バジリスクを超えるんじゃないか。あの場にいた4人はそう語ったと言う。
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