アンケート三位@ベジカカ(來庵)




ブウ戦後で既に関係ある・・・感じです^^
ベジカカは(大方)初チャレンジなので、大きな心でお願いします^^

【ふたりぼっちじかん】


そろそろ終わらせるか・・・。

壁際にかけてあったタオルを乱暴に手にしたベジータは、額の汗を拭い、トレーニングルームに備えられた操作盤に表示された時刻が夜半過ぎなのを確認して大きな息を吐く。

平和な日々に慣れた頃は常に付きまとっていた苛立ちが消えてもなお、じっとしては居られない己の血に薄く自嘲を浮かべた。

コントロールパネルに手を伸ばし、加圧装置の操作をしようとしたその瞬間、操作盤と自分の数十センチの隙間に、明るい山吹色の歪みが現れた。


「ベジータ、ちょっと付き合えっ。」

「カカっ・・・!?」


突然現れた悟空は、一瞬の内にベジータの手首を掴み、再度額に指先を押し当てた。

名前さえも呼び終えることなく、瞬時に移動した其処は、誰も居ない広い荒野の見渡せる切り立った崖の上だった。


「・・・どういうつもりだ?」

「何となく・・・おめぇとここに来てぇなぁ、と思ってよぉ。」


珍しくはにかんだ笑みを見せた悟空にベジータは首を傾げ、周囲をぐるりと見渡した。

何があるでもない、ただところどころに岩壁と木々が見え隠れする、荒野。

風が吹くと数メートル下の地面からさえ、さらさらと砂を転がす音が聞こえてくる程静かな場所・・・。


「此処がどうかしたのか?」

「此処が・・・っていうか、おめぇと話したくなったから・・・」

「話?今更何を話すと言うんだ?」


フンと鼻で笑い飛ばしたベジータは、隣に何のためらいもなく足元の芝生に腰を降ろした悟空を一瞥した。


「そうだなぁ・・・もしも、の話とか。」

「仮定など必要ないだろう。結果が全て、だ。」

「おめぇならそういうと思った。・・・なぁ、おめぇも座れよ。」


へへっと笑って、ごろりと寝転び暗い夜空から零れ落ちそうな星の明かりの天を仰ぐ。

ベジータは悟空の隣に腰かけると、顔だけを少し持ち上げて悟空の視線の先を辿り同じ星空を見上げた。


「オラ、おめぇに会えて良かったと思ってんだ・・・。」

「俺は貴様なぞ会いたくなかったがな。」

「せっかくオラが本気でしゃべってんだからいちいち難癖つけんなよなぁ・・・。」


苦笑いを浮かべた悟空は、ゆっくりと瞳を閉じて言葉を続けた。


「宇宙ってもん自体よくわかんなかったし、地球の外にはもっと強ぇ奴がいるってわかって・・・嬉しかったんだ。」

「こんな辺境の星で甘ったるい生活をしているからだ。」

「だからぁ、最後まで聞けって。・・・サイヤ人なんて言われても実感なかったけどよぉ・・・やっぱりおめぇといるとわかんだよなぁ・・・なんていうか、気のリズム・・・みたいなもんがさ、安心する。」


へへっと笑って身体を起こした悟空はベジータの顔を覗き込んだ。


「・・・で、結局貴様、何が言いたい?」

「う〜ん、何だろな・・・ありがとうって言いてぇのかもな。」


自分自身の身体の奥に眠る本能・・・

もしベジータに出会うことがなければその本性を受け入れることが出来なかったかもしれない。

猟奇的なまでもの戦闘本能を・・・。


「感謝、か・・・」


礼を言うのは・・・俺の方かもしれない。

そんな想いがほんの少しだけ胸の奥を過って締め付け・・・ベジータは無言のまま、悟空を抱き寄せた。

瞳の奥が鈍く光り、ベジータは悟空の唇に軽いキスを落とした。


「ベジータ?!」

「さっきから散々俺に黙れと言っただろう、今度は貴様が黙る番だ。」


肩を突く悟空のその手を払い、起き上がった悟空の身体を柔らかな地面へと縫い付ける。

首筋に顔を埋めると、小さく唇を寄せて啄ばんだ。


「ちょっ?!ベジータ、オラ、今日はっ・・・」


慌てて身体を捩る悟空の動揺した様に、ベジータはゆっくりと唇を離した。


「何を勘違いしている?」

「へ?!」


鼻で笑い飛ばしたベジータは、身体を起こすと満足そうに口角を持ち上げた。


「・・・期待したか?」

「ど、どういう意味だよ!?オラ、別に、そんなっ・・・」


赤く染まった耳の先は最強と呼ばれる男からはおよそ想像出来ない隙。

ベジータはくすりと笑って呟いた。


「嘘の付けない奴だな。」

「おめぇだって案外わかりやすいんだぜ?」


不貞腐れたように唇を尖らせた悟空は、立ち上がるとう〜んと伸びをしてからベジータを振り返った。


「そろそろ帰るか。」

「結局貴様が何をしたかったのか俺には理解出来んがな。」


立ち上がった悟空につられるようにベジータも立ち上がる。


「おめぇの顔が見たかったんだ、たぶん。」


ベジータは覚えてないんだろうけど・・・

いや自分自身も覚えていなかった、あの月を見上げるまでは・・・。

途切れてしまいそうな赤い下限の月の夜の出来事を・・・。


「反吐が出そうな言葉を安易に吐くな。」

「でも、オラ嘘つけないんだろ?だったらいいじゃねぇか。」


口角を持ち上げた悟空の挑発的な笑みに応えるようにベジータが口角を持ち上げると、悟空はその手首を掴み、額に指を押し当てた。

一瞬の視界の歪みの後、元居た重力室に戻されたベジータに悟空は先ほどまでの切なげな瞳とは打って変わった、いつもの明るい笑みを浮かべた。


「悪かったな、夜中に急に・・・」

「貴様が連絡をよこして会いに来た記憶なんてない。」

「そう言うなって・・・。」


苦笑いを浮かべる悟空をじっと見つめたベジータは満足そうに口角を持ち上げた。


「なんだよ?おめぇらしくねぇ顔して・・・」

「寝る前に顔でも洗うんだな。」


ベジータは先ほど停止し損ねた加圧装置のスイッチを切って悟空に背を向けた。


「なんだよ、それ?オラもう風呂なら入ぇったぞ?」


きょとんとする悟空を振り返ることなく、ベジータはトレーニングルームの扉に手をかける。


「俺は今からだ。とっとと帰れっ。」

「?おう・・・またな、ベジータっ。」


悟空の言葉にベジータがトレーニングルームを後にする。

その背中を・・・扉を見つめていた悟空が、静かに額に指を押し当てたその瞬間、閉じた扉の金属面に自分の姿が反射した。

首に刻まれた赤い跡をも鮮明に・・・

悟空は額に押し当てた指を離すと、また耳の先を赤く染めてしまったばかりの扉を開き、愛おしい同胞の背を追った。


end



【あとがき】
初書き・・・に近い、らしいです(後日他の方に指摘されました、書いたことあるってw)
でも大方初書きです///////
前に書いたのは原作的な地球・・・じゃなくて惑星ベジータだったから記憶からすっとんでたw
こういう「ふたりだけの」とか「唯一の」、みたいな空気感は初めてだったので堪らなかったw
めちゃくちゃぎこちない気もしなくはないですが、ベジータが悟空にだけ見せる顔、とか悟空がベジータにだけしか見せられない顔、とかとっても萌えると思います///////(來庵の筆力はさておき^^;)
ベジータの方からキスマークつける、とかちょっと上からなベジータ様とかそういうのが書きたかった^^
やっぱりベジカカもいいですね〜♪
投票して下さった皆様のご期待に添えた自信は全然ございませんが、少しでも楽しんでいただければ幸いです//////


【from bacon】
初書き??え?初書き??
絶対嘘だよwwww
初書きでこんなに萌え〜〜なベジカカ書けるならば、今までは出し惜しみだったのねぇ〜〜////もっとやっていいのよ!

・・・・といきなり大興奮で失礼しました。本当にこんなテンションの奴と共同主催とかする來庵さんの苦労の一端が皆様にも垣間見えたかもですね(笑)。

いやぁ、やっぱりベジカカはただ甘いだけじゃない、この二人の間に流れる緊張感みたいなのも堪らないし、とにかく「通じ合ってる」ってこういうことを言うんだろうなぁ・・・・という唯一無二の存在を感じて胸が熱くなりました。ある意味もう公式にも近いですからね、このCPは^^

ちょっと期待しちゃった悟空さも、思わせぶりなベジもええです////しかし、悟空さに「会いたかった」って言われるなんてなんて羨ましいんだ、ベジ。ベジカカ好き―様がきっと大満足―な一作になったのでは?と思います、ご馳走様^^アンケへのご協力、ありがとうございました。


次は二位の飯空です〜^^

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