SS<クウラ×カカロット>-B



 手を伸ばす事も躊躇しなかったし、なにより輝かしいその光に身を焦がされても構わないとさえ思えた。
 ドーレと対戦ゴッコをした後なのか、カカロットはギリギリまで体力を消耗してスーパーサイヤ人を解除させた。
 金糸を散らす様に消えてゆくのがどうしても惜しくて、クゥラはカカロットの腰に腕を回して抱き寄せる。驚いて声を上げるカカロットの身体と自分を反転させ、玉座に腰を下ろすカカロットをクゥラは立ち上がって見下ろす形になる。
 この玉座に座るという意味を知っているカカロットは直ぐに立ち上がろうとするが、クゥラはカカロットの肩を抑えつけてそのまま、あどけなさを残す表情を見つめながらかさついた唇へと自分のそれを押しつけた。

「ん、…」

 冷たいその唇に驚いたのは最初だけで、カカロットも拙いながらもクゥラの硬い舌を受け入れる。肩を抑えつけていた両手は頬を滑り、首を撫で回され喉がヒクリと上下する。その冷たい指はゆっくりと躊躇なくアンダースーツのジッパーに手を掛け、一気に引き下ろす。
 まだ成長途中の柔らかい腹筋は緊張に震えていた。襟もとから指を差し込んでアンダースーツを掴んで更に引き下ろす。下腹部まで引きずり降ろそうとするクゥラの腕を、流石にカカロットは抵抗を持って掴んだ。
 口吸いの合間からクゥラの名を呼び、苦しげに瞳は水の膜を張って潤んでいる。クゥラにはそういった体液は殆ど理解できなかった。独特な体臭も、唾液の滑らかさも、涙も。指を這わされば纏わりつくカカロットの汗に、熱を感じた。
 口吸いに気を取られている隙にカカロットからアンダースーツを剥ぎ取れば、柔らかい体は生まれたままの姿になる。肌寒さにくすみのない肌が震える。その肌を掌で撫で上げれば、カカロットは表情を曇らせた。

「クゥラ、恥ずかしいから嫌だって」
「俺しか見ていない」

 そういう意味で言ったんじゃないと反論しようとすれば、右の脹脛を掴まれ足の指先に唇を押しつけてきた。
 裸のままで玉座に座るカカロットを見上げ、クゥラはスーパーサイヤ人になった時のカカロットを思い出す。
 自分の歪んだ心を見透かすような清らかな碧玉と、無機質で温もりを持たない肌に熱を齎す金色の輝きが脳裏を支配して、喉が渇きを覚える。

「カカロット、俺だけの美しい…」

 独占欲とはまた違うとクゥラは感じていた。穢そうとも思えず、自分とはまるで正反対の存在に触れる罪深さを初めて味わう感じだった。
 クゥラの熱を含まない冷たい唇は、極上の絹に触れる様に足指から脛、膝、太股、そして薄らと茂る脚の間へと向かう。震える両脚を割り開こうとして、カカロットから嗚咽が漏れた。頭上にあるカカロットの顔を見上げれば、顔を俯かせて悲痛そうに涙を浮かべていた。

「カカロット、苦しいのか?」

 仕舞には膝を抱えて泣きだすものだから、クゥラは戸惑った。クゥラは予め猿人類に近いサイヤ人はある程度の年齢に達すると気分が高ぶり生理現象を覚えると調べていた。
 全く違う種族なのだからそれが何なのか知る訳がなく、その行為を一切教えていなかった自分達の責任感が度を越してしまったのかと、クゥラはカカロットの体調を窺いながら泣き顔を覗きこんだ。

「嫌だったか?」
「よく、わかんねぇ。でも、クゥラからこんな事されたくねぇ」

 黒い瞳を揺らせて泣くカカロットを抱き寄せ、赤ん坊の頃から知っているその泣き声を耳に入れながら背を撫でる。それ以上カカロットは何も言わず、クゥラも何も返さなかった。

 年々、カカロットの力は大きくなってゆく。これが呪い師の言っていた事なのかはどうかは知らないが、時折、戦慄すら覚えるカカロットの力は近い内、全てを超越した存在となるだろう。
 もし呪い師の戯言だと無視していれば、虚無感を抱いたままカカロットと出会い闘っていたのだろうかと思う。
 それもまた楽しいものだとも思った。いま、この腕の中にある自分の命でさえ危うくさせる存在を、捻り潰すという思いに苛まれずに、命を掛けて闘えるからだ。

そして嫉妬も憎悪も抱いて、この身体を貪るのだろうかと。
結末を迎える答えはまだ見つからない。

「すまない」

 クゥラの言葉を聞く前にカカロットは疲労で眠りに落ちる。その身体を柔らかい敷布に包んで、玉座に座らせる。

『金の御髪と碧玉の瞳を持つ王が、破壊と再生、永遠の繁栄を齎すだろう』

 予言の如くその言葉を受け入れた以上、クゥラは結末すらどうでもよくなった。
どんなに愛していると囁いても、選ぶのは自分、そして目の前にいるこの子供。
 踵を返し部屋を後にする背中は、愛おしい声に見送られる事も無く、幸せも悲しみも存在しない世界に彼だけを閉じ込めた。

産声を上げて目覚めた時、破壊が訪れるかそれとも何が訪れるかは、誰も知る由は無い。








-FIN-


【作者様コメント♪】
あまり書いたことがないカプに挑戦致しました。しかもパラレルで申し訳ないです。
別に父と弟が嫌いって訳ではないけど、「強さ」とか「支配」について自分の考えがあるから時々あの二人にイラッとする程度でクゥラ様は好き勝手やってるイメージがあります。敵と見なした相手には露程に容赦しませんが。
ド鬼畜ドSなクゥラ様も好きですが、カカを甘やかすクゥラ様を書きたかったので、変な話になってしまいましたが、皆様が楽しんで下されば此幸いです。

◆EN様
HP:拙い夢寐



【主催者より御礼^^】
<from bacon>
EN様、この度は悟空受祭にご参加いただきまして、本当にありがとうございます////

まさかのクウラ様登場があまりにもオレ得すぎて、飛び上がってしまいました////フリ様やコルドさんよりも、よりストレートに鬼畜というのか、より支配者らしいイメージのクウラ様がカカを甘やかすとか、考えただけでありもしない尻尾がクルクル動いてしまいそうなほどに萌えます^///^

しかも、玉座に座ってですか・・・・っ
ああ、なんかクウラ様の深いけど歪んだ愛情みたいなのが、ゾクゾクしますっ。
手に入れたつもりでも手に入らないのがカカの罪深い魅力かなぁ、とか、この先の運命がどうなるにしろ、ある意味一途なクウラの思いに引き込まれました。

素敵な作品をありがとうございました!!

<from 來庵>
EN様、改めまして悟空受け祭にご参加いただき、誠にありがとうございます/////

あの鬼畜ドSなクウラ様が、カカロットを気まぐれに育てるなんて/////
そして甘やかすなんて//////
運命のいたずらか、次第に心映るクウラ様に開眼してしまいました(*>艸<)
閉じ込めてしまいたい程のカカの魅力とそれに無自覚なほどの無垢さはクウラ様が今まで接してきたどんなものとも違うんでしょうね、きっと/////

新境地を見いだせた素晴らしいクウラ×カカロット、ごちそうさまでした/////

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