地球侵略しにきた宇宙人ナルト×高校生サクラ
不純な夜を待ち望んだセブンティーン



世界が平和であってほしいなどという事は誰しもの願いであり、自分が生きている周りは常にこれ以上はないと言うほど平和であり、それは素晴らしい事であり、しかし人間というのは欲深い生き物だ。
あまりに平和がすぎると、刺激を求める。当たり障りのない生活から、非現実に逃げ込もうとする。なんと愚かしい事だ。しかしそれは、私も同じだった。

(今日も、なんとなく一日が終わった。)

ため息をつく。自分への嫌気でまたため息をつく。そのため息にまたため息をつく。なんという悲しいループだ。
いきなり、それに自分で言うのもなんだが、勉強は小さい頃からそれなりによく出来た。
そしてそれに溺れないよう、現在も必死に頑張っている。そのおかげで、クラスではいつも一位だ。
周りは凄いね、といつも褒めてくれるけれど、その後ろにはどろりとした妬みがウロウロしている。女性とは面倒くさい生き物だ。
色々あって現在一人で暮らしている。学生なのに大変ねえ、偉いわねえ。と言われながら、家事はなんとなーくこなす。まあ、料理は…ノーコメントで。
もちろん学校には大好きな友人や先輩がいるから、全然辛いことはなかった。しかし一人というのは究極の自由であるが、中々どうして退屈だった。

(恋愛が、足りないのかな。)

青春をエンジョイするには、やはりそれか。
中学生の頃までは、私も、ミーハーに部活で一番人気の先輩とか、そういうのに一目惚れをして黄色い声援をしたものだ。
しかし、そういう人間はまあロクなやつがいない。思いの丈を伝えたら、なんとOKされたから、その日はあまりの興奮に眠れなかった。
メルヘンゲットだ。しかし一週間も経てばボロが出る。私に愛の言葉を伝えると同時に、何人の女がいたのか。
いの(私の幼馴染の子だ。)と一緒に、とても此処では教えられないようなセリフを吐き飛ばしながら、紙クズのそのまたクズみたいにしてやった。女性をナメてはいけない。
まあつまりだ。私には男運がない。ので、恋愛してもロクな事がない。ので、するのもだんだんと面倒になってきた。ので、現在のこの状況なわけだ。

またため息が出た。
夜が退屈なのよね、夜が。せめて、話し相手でもいればなあ。電話とかメールとか、していないわけではないが、いちいちケータイを開くより、やはり実際人がそばにいて、そこで話しているのが私は好きだった。
山盛りの課題をあっさりとこなして、今日はもう寝ることにした。

布団に潜りこんで、携帯のアラームを設定する。画面の眩しさに目蓋がずっしり重くなる。

(そう、話し相手でいーのよ。気を使わないで済む誰か…。そんなの、結婚しない限りムリか…。はあ、というか最近寝つき悪いなあ、疲れてるハズなのに…。)

枕に顔をうずめて、ブツブツと呟く。ごろごろと姿勢を変えても中々眠気はやってこない。
凄く長い時間が過ぎた気がして、携帯をまた開くと、30分ぐらいしか経ってなかった。喉が渇いたので、お茶を飲もう。冷蔵庫は下の階の台所だった。
勢いよく茶を二杯ほど飲みほして、マグカップを洗っていると、向こうの方で何かがチカッと光るのを感じた。

(ん?)

そういえば、いつの間にか凄く天気が悪いようだ。
雨の深いざあざあという音が延々と続き、そこに雷が割り込んでくる。あまりの大きな音に、思わずヒィッという情けなさい声が出た。さっき光ったのは、雷だったか。すぐ止むだろうが、この音は得意ではないので勘弁してほしい。

(あーもー…。此処に落ちないでよね〜…)

ブツッ。

(え?何、今の音、なんか今テレビ勝手に映った?一瞬、画面が白く濁った気がする。)
(え、もしかして、壊れた?願った矢先に!?どーすんのよもう…!)

とりあえず、恐る恐るリモコンの電源ボタンを繰り返し押してみたら、普通に映ったので、安心した。
念のため、線を抜いておくことにした。壊れたらたまったものではない。相変わらず雷が酷いので、さっさと布団に戻ろう。
納まる気配のない轟きに頭痛を覚え、唸りをあげながら耳を塞いでいたら、疲れが出たのか今度は意識を手放すまでそう時間はかからなかった。
しかし眠る直前、雨の音に混じって、何か声が聞こえた気がする。

「いよっしゃあ!着いたってばよ〜!お疲れ俺!はぁ〜長かったなァ、疲れたなァ、眠みぃなァ」

(疲れたのはこっちだ。眠いのもこっちだ。)

「おやすみ〜」

(っつーか、アンタ誰よ…人の夢の中に図々しいわね…。)
(ま、いっか…)

話し相手なら夢の中で我慢しろって事か。上等だ。

「おやすみなさい…」

話し相手が欲しいって、そう思う事は欲張りだろうか、孤独を抱えた人、誰もが願う小さな小さな望みじゃないか。それはリアルじゃなく、願いだ。想像だ。妄想だ。それが、大きな大きな運命になって跳ね返ってくるなんて、思いもしないじゃないか。
目が覚めたら非現実だなんて、そうだったらいいのにと心の底で密かに願ってはいても、実際に!絶対に!そうなっている!だなんて、考えるだけで虚しいじゃないか。なるワケがないから、考えるワケがないじゃないか。

今思えば、この何もない、当たり障りのない日々を私はもっと味わっておくべきだったと思う。人間というのはつくづく欲深い生き物だ。


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