それでも優しい恋をする | ナノ


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 昼休みに担任に呼び出された話をしたら、父親に爆笑された。

「大学なんて別に行かねーでいいんだよ!俺と同じところに就職しろっ」
「馬鹿、無責任なこと言わないの。せっかくいい高校行かせてんだから!」

 晩ご飯も食べ終えた団らんの時間、父親はソファにあぐらをかきながらテレビを見ていた。その足元に座り、俊太は頭をかいた。
 父親は高卒で就職した。言ってしまえば、元ヤンである。趣味が高じてバイク関係の整備会社に勤めており、今のところ真っ当に生きていた。皿洗いをしている母親は専門学校卒で、今も美容師として現役で働いている。
 二人とも、若くして結婚した。実を言えば、俊太の歳には身ごもっていた。しかしその若さに対して将来観はしっかりとあり、こうして俊太は何不自由することなく生活が出来ている。

「お金のことは気にしなくていいから、国公立でも私立でも、好きなとこ行きなよ」

 母親はそう言ってくれるが、そもそもやりたいこと自体が見つかっていない。
 そういえば、とスマホを見て、あずに返信してなかったなと思い出した。

『明日、晩ご飯食べに来ない?』
『行く〜』

「あー、俺、明日晩ご飯いらねー」
「りょーかい」
「何だ、女か?」
「違うっての」

 きゅ、と水音が止まり、母親もリビングに入ってきた。ちょっと詰めて、と言いながら父親を押しのけ、ソファに座った。

「そろそろあんたも真面目になんないといけない時期かもね」
「痛てて」

 足元に座る俊太の髪を引っ張りながら、母親がぼやいた。

「髪、やってやろうか?」
「…………」

 スマホが震えた。あずからの返信だった。

『やった(^o^)』

 ぎゅ、と手の中で握りしめた。


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