自分がいかに汚いかわかるようだった。
『ゆうが、しゅんと会うなって言ってた』
突然にあずが切りだして、くそあいつ余計なことを、とむくむくと怒りが湧く。
『何か言ってた?』
『しゅんは、遊び人だからって』
どんだけ俺のことを悪く言ってんだ。
どう返事をしようか迷いつつスマホを握りしめていると、あずが俯いている俊太の顔を覗きこんできて、スマホを奪った。
『しゅんは、遊び人なの?』
さて、と冷静な頭で考える。遊び人、という言葉がそのまま遊び回る人という意味で取られているのか、単純に性にだらしないやつとして取られているかで全く違う。
あずの大きな目が、見透かすように俊太を見ていた。真っすぐな目だった。何にも汚されていない、綺麗な目だと思った。
ぞく、と悪戯心が頭をもたげる。
この綺麗な人を汚すのは、さぞ楽しいだろう。どんな顔をして溺れていくのか、見てみたい。下衆なことを考えているのはわかっていた。
あずは綺麗すぎる。だったらこちらに、堕としてしまえばいい。
「…………」
あずの手からスマホを奪い、布団の上に置いた。きょとん、としているあずの両手首を掴んで、そのまま布団に押し倒した。
大きな目が見開かれた。片手で顎を上げ、形の良い唇に視線を落とした。
「…………っ」
ひく、とあずの身体に力が入るのがわかった。かぁっと顔が赤く染まり、恥ずかしげに目をぎゅっと瞑っていた。
ふるふると身体が震えていた。あまりの綺麗さに、眩暈がするようだった。
『遊び人なの』
その意味を、あずは理解していない。
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