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side.満月



「……恭ちゃーん」
「……んー」
「疲れてるみたいだねぇ」
「……あいつら元気すぎ」
「元気すぎって……生徒とそんな歳変わんないでしょ」
「畠山先生に怒られるし」
「……あー、学年主任の」



生徒が帰り切った、放課後の保健室。
デスクで作業してる俺の前、恭平がソファにうつ伏せになってぐったりしていた。

新任教師で初担任の春。
忙しさのピークはすぎて、こうして保健室にこれるくらいにはなった。

……が、HP消費量は半端ではないようで。



「畠山先生、絶対俺のこと嫌いだわ」
「なーに言ってんの」



とんとん、と書類をまとめながら息をついた。

こんなふうに恭平があからさまにまいるのも、なかなか珍しい。



「……仕事、終わったか」
「もーちょい」
「早く」
「……」
「早く」



うつ伏せのままの恭平に苦笑する。



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