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side.恭平
「……満月?」
「……」
突然の訪問者に俺は言葉を失った。
玄関先で俯く満月を、とりあえず家にあげる。
「どうした、急に」
「理由がなきゃ来ちゃ駄目か」
お前はいつも勝手にくるくせに、と満月は顔を上げずに言う。
ちらりと見えた頬が微かに蒸気している。
……ほう、これは。
「……好きなだけいりゃいいよ。俺は明日の会議の書類作らなきゃだから、あんま構ってやれないけど」
「……ごめん」
「なーにかしこまってんだ」
がしがしと頭を撫でると、少しだけはにかむように笑った。
「飲み物とか、適当に飲め」
「……あぁ」
キッチンに向かった満月を見て、俺はテーブルに座りなおしてパソコンと睨めっこ。
早いとこ、片付けなきゃな。
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