5
朝に目が覚めて、左腕にまかれた真新しい包帯が目に入った。
のそりと起き上がると、腰や下半身に鈍痛を感じた。新しいTシャツが一枚だけ、着せられていた。
「う……」
軋む身体でリビングに行く。
テーブルにはメモが置いてあった。
朝ご飯を作っておいた、とのそれの隣には、ラップがかけられた食事。
冷えてしまっている食事に、今がもう昼過ぎだということに気付いた。
ぱらり、緩かったのか包帯が落ちた。
醜い傷が顕になる。
お父さんはきっと気付いている。
気付いて、何も言わないのだろう。
カーテンの向こうは眩しいくらいの青空だった。
絶望的なほどの晴天に、僕は、目を閉じる。
また、夜がやってきて。
僕は願い続けるのだろう。
恐ろしいことが起きませんようにと。
もう終わりますようにと。
一生叶わない願い。
毎回絶望しながら、僕は包丁を手に握って、
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