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戸惑う僕の背中を、航が軽く押してくれた。

初めて入る、教室。



「おーい、遅刻だぞ。高梨。浅井」
「すんませーん」
「え、」
「奈津の席はここー。俺の隣ね」



黒板の前には、白衣の皆川先生が立っていた。
さらに満月先生も、教室内の机に座っていて。

航と、先生に挟まれて、僕は座っている。



「ていうか、なんで私が生徒なんですか?」
「だって満月せんせ、授業出来ないじゃん。保健医だから」
「日下部、高梨。私語すんなー」



僕は、混乱していて。



(何、これ、)



「授業始めるぞ。教科書15ページから」
「奈津、教科書見せてよ」
「え、あ、」



がたがたと、航が机をくっつけてきた。



「日下部、読め」
「教科書忘れましたー」
「ちっ……浅井、見せてやれ」
「皆川先生、今舌打ちしませんでしたか?」



言いながら、満月先生も机を寄せてくる。



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