4
戸惑う僕の背中を、航が軽く押してくれた。
初めて入る、教室。
「おーい、遅刻だぞ。高梨。浅井」
「すんませーん」
「え、」
「奈津の席はここー。俺の隣ね」
黒板の前には、白衣の皆川先生が立っていた。
さらに満月先生も、教室内の机に座っていて。
航と、先生に挟まれて、僕は座っている。
「ていうか、なんで私が生徒なんですか?」
「だって満月せんせ、授業出来ないじゃん。保健医だから」
「日下部、高梨。私語すんなー」
僕は、混乱していて。
(何、これ、)
「授業始めるぞ。教科書15ページから」
「奈津、教科書見せてよ」
「え、あ、」
がたがたと、航が机をくっつけてきた。
「日下部、読め」
「教科書忘れましたー」
「ちっ……浅井、見せてやれ」
「皆川先生、今舌打ちしませんでしたか?」
言いながら、満月先生も机を寄せてくる。
前へ top 次へ