6
side.航
次の日、奈津は学校にきた。
いつもと変わらなかった。
ただ調子は悪いのか、口数は少なかったけれど。
単に昨日は気分的なものだったのかと、少し安心した。
「奈津、眠い?」
「……少し」
「もう昼休みおわるし、寝な?」
保健室。
奈津がソファでうとうとしていた。
俺の提案に小さく頷いた奈津はゆっくりと立ち上がり―――そのままふらりと身体が揺れた。
「わっ…」
咄嗟に腕を伸ばして抱き留めて、
「さわっ…ないでっ」
「え……」
ぱっ、と身体を離された。
「大丈夫、だから」
「………」
足元がふらつく中、ベッドへと向かう。
布団に潜り込んで、顔を隠された。
ちらりと満月先生を見やると、小さく頷かれた。
奈津の寝息が聞こえた頃、先生がそっと額に手をあてた。
「……えらく熱が高いですね」
「え」
「さしずめ、隠していたんでしょう。心配かけまいと」
てきぱきと、介抱の準備を始める先生。
俺は立ち尽くしたまま、苦しそうに眉をよせる奈津を、じっと見ていた。
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