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side.航
いつもきちんと時刻通りにくる奈津が、やってこなかった。
待ち合わせは部屋の前。
8時半に部屋を出て、一緒に学校に行く。
「奈津?寝坊?」
こん、とドアを叩いても返事はなかった。
危なっかしくて、不安定な奈津のこと、俺は心配になって合鍵を取り出そうとした。
ふと、着信音。
奈津からメールが届いた。
『今日は休む』
メールも珍しいことで、何か直接話せない理由があると伺えて、俺もメールで返すことにした。
『体調悪い?』
『大丈夫』
間髪いれずの返信。
困った。
だからと言って、引きずってまで学校に連れていくこともできない。
奈津が助けを求めない以上、俺もむやみに干渉はできない。
何かあったのか、それとも、
『大丈夫だから。学校に行く気分じゃないだけ。サボり。』
心配しているのを察したのか、メール。
『何かあったら、またメールしてな』
ぱたんと携帯を閉じて、ドアの前を離れた。
奈津もたまには、学校を休みたいときだってあるのだろう。
病んでるときはメールなんて返してくれないから、今はそんな状態じゃないのかも。
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