3
 

side.航



いつもきちんと時刻通りにくる奈津が、やってこなかった。
待ち合わせは部屋の前。
8時半に部屋を出て、一緒に学校に行く。



「奈津?寝坊?」



こん、とドアを叩いても返事はなかった。
危なっかしくて、不安定な奈津のこと、俺は心配になって合鍵を取り出そうとした。

ふと、着信音。
奈津からメールが届いた。



『今日は休む』



メールも珍しいことで、何か直接話せない理由があると伺えて、俺もメールで返すことにした。



『体調悪い?』
『大丈夫』



間髪いれずの返信。
困った。

だからと言って、引きずってまで学校に連れていくこともできない。
奈津が助けを求めない以上、俺もむやみに干渉はできない。
何かあったのか、それとも、



『大丈夫だから。学校に行く気分じゃないだけ。サボり。』



心配しているのを察したのか、メール。



『何かあったら、またメールしてな』



ぱたんと携帯を閉じて、ドアの前を離れた。
奈津もたまには、学校を休みたいときだってあるのだろう。
病んでるときはメールなんて返してくれないから、今はそんな状態じゃないのかも。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -