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「……は、」



息苦しさで目が覚めた。
ぶるりと寒気がきて、僕は布団を肩まで引きずりあげた。

頭がぼんやりした。
風邪、と今までの経験則が警報を鳴らした。
満月先生いわく、僕はあまりご飯を食べられないから、めんえきりょく、が弱いらしい。



「………」



枕元にあった携帯を開いた。
着信履歴を開くと、航の名前ばかり。
発信ボタンを押そうとして、携帯を閉じた。

よべば、夜中だろうが航はきっと来てくれる。
大丈夫?といつもの変わらない優しい笑顔で、僕を抱き締めてくれる。
僕はその優しさを、簡単に享受できないでいる。

嫌われるのが、怖いから。



「こ、う……」



迷惑と思うかもしれない。
またか、と思うかもしれない。
航は何度も、そんなことないと言うけれど。

ぎゅっ、と携帯を握り締めた。
僕もいつまでも甘えてばかりじゃいけない。

考えて、きつく目を瞑った。
きっと明日になれば、治ってる。
やってきそうな不安を断ち切るように、僕は眠った。



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