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side.航
……どれくらい寝ていたのだろうか。
覚醒して目をこすり、視界がクリアになって、
「……わ、びっくりした」
「あ、ごめ」
カーテンの隙間から、奈津がこちらを見ていた。
「もしかして、ずっと見てた?うわ、恥ずかしい」
「ごめ……体調、大丈夫?」
「あー大丈夫。元々そんな熱高くなかったし」
こっちおいで、と手を動かすと、奈津はおずおず近付いてきた。
傍らにあった椅子に座らせる。
「寝てなきゃ」
「さっき寝たしーもう眠くなくなっちゃった」
奈津が心配したような顔でこっちを見るから、俺は笑ってやった。
体調は一度寝たからか大分良くなっているのがわかった。
「寝てるのひまだー」
「だめ、安静にしなきゃ」
「うう……奈津が言うなら」
たかが微熱、と思うけれど。
奈津にあんまり心配はかけたくない。
「まだ熱あるし、もっかい寝て」
ぴたりと奈津が額に手をあてた。
ひんやりとして気持ちいい。
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