5
side.修
苛々する。
圭、と言った。
あのとき電話で葵が呼んだ名前と、同じ。
「き、きょう、仕事、じゃっ」
「なに、わかってこっそり他の男とヤってたの?」
「っちが、」
無理矢理、俺の家に連れ込んだ。
ベッドに組み敷いて、両手首を拘束する。
「いた、痛いっ……」
「……態度がでかいんだよ」
苛々する。
治め方がわからない。
ただ、赴くままに、葵の首筋に噛みついた。
がり、と皮膚を噛みきる感触のあと、鉄の味がした。
「誰のモンだと思ってる?」
「痛っ……ごめ、なさっ、ごめんなさい……っ!」
何度も、いくつも、傷をつけた。
窒息させてしまうほどに、長い長いキスをした。
俺だけ、みてればいい。
「他の男の匂い、させてんじゃねーよ」
くたりと気を失った葵の額を撫でた。
殺してしまいたい。
それほどに、俺は、
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