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side.葵



「授業終わったよ、」
「あ……」



圭だった。
なに考え込んだ顔してんの、と頭をぐしゃぐしゃ掻き回された。

圭は、僕とは全然違う。
いつも友達に囲まれて、楽しそうに笑ってる。
普通にしてたらクールそうな顔つきなのに、笑うとくしゃって幼い顔になる。
いいな、羨ましいな、と思う。



「次、何限?」
「あ……もう終わり」
「まじ?俺もこれで終わりだからさ、飯でも食っていかね?」



にこ、と無邪気な笑顔。
僕には眩しすぎる。
同時に、そんな笑顔を向けてくれることに、嬉しくなった。



「おすすめの店あんの。このあと用事ある?」
「な、い……」



今日は朝倉さん、遅番の日だ。
この日だけは、僕は解放される。
ゆっくり眠ることが出来るんだ。



「ん、行く。行きたい」
「っしゃ決まりー!」



圭があんまり嬉しそうに笑うもんだから、



「あ、笑った」
「え」
「綺麗な顔して笑うんだな」
「なっ……!」
「いつも仏頂面だからさ」



笑ってたがいいよ、と頬を両側に引っ張られる。



「いひゃい、」
「にこにこしてろー」



そういえば、自然と笑ったの。
久しぶりかも、しれない。



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