2
とりあえずソファに座らせた。
酒が抜けるまでは眠れないだろう。
それか、酒で眠れるかのどちらか。
「おら、水飲め水」
「おみず、やー…」
「黙って飲め馬鹿」
しょんぼりした顔で両手にコップを包みながら、ちびちびと水を飲んでいた。
初めて見た、こんな様子。
まぁ未成年だから、お酒を飲むこと自体ないんだろうが。
(……なんつーか、)
目に、毒。
「のんだー…」
「ん」
「えらい?」
「あー、えらいえらい」
元から幼い感じはするけれど、さらに幼くなった感じだ。
呂律も酒のせいか、うまく回っていない。
「ん!」
「あ?」
「んー!」
綾が突然、謎の行動をした。
頭をつき出すような形に、頭突きでもする気かと身構えて、
「いいこ、ってしてよー」
「は」
「いいこなの!」
合点がいった。
ここはやりたいようにやらせといた方がいいだろうと考えた。
綾の猫っ毛の頭を撫でてやると、気持ち良さそうに目をつむった。
へへ、と心底嬉しそうに笑う。
「りょーもいいこいいこなの」
「え」
腕を伸ばして、頭を撫でられた。
……いつもはしている側だからか、いざされるとなんだか恥ずかしい。
「あのね、おれ、すきなの」
何度も頭を撫でながら、いう。
「涼にいいこ、ってされるの。だからおれもしたげるの」
……可愛いこと言ってくれる。
前へ top 次へ