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side.満月



「奈津、眠れないのですか」
「ん……」



ベッドを覗くと、もぞ、と白い塊が動いた。
ひょこ、と顔を出した奈津の額をそっと撫でた。
少し、微熱程度の熱があるようだ。



「気分はどうです」
「……よく、は、ない……」
「お薬は飲んでますか」
「…………」



なにか、調子が悪そうなのは明らかで。
頭を撫でて、話を続ける。



「高梨とは、どうです」
「……どう、って……」
「仲良くしてますか?」



少し遅れて頷いた奈津の表情の変化を、俺は見逃さなかった。



「一緒に寝ているのでしょう?」
「最近、は」
「おや。一人でも眠れますか?」



間を開けた、頷き。



「高梨はね、奈津に同情して一緒にいるわけじゃないんですよ」
「……?」
「奈津が好きだからです。奈津も高梨に対して思うように、高梨も奈津を大切にしたいんですよ」



だから、



「一人で抱え込まなきゃいけない毎日は、もう終わったんですよ」



一人じゃないと、伝えてあげたかった。



「おわ、り」
「自分の気持ちを、素直に伝えなさい」



奈津は一度だけ目を瞑って、小さく、頷いた。



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