7
抱き締められた。
怖さと驚きで固い僕を、涼はほぐすように背中を撫でてくれた。
「……鈍感は俺か」
「えっ……なに、」
「忘れらんなかったんだ、あやの顔」
「僕の、顔……?」
心臓、ばくばくいってる。
死んじゃいそうだ。
「あの日……あやが泣いてた日」
「っ……」
「だってあや、めちゃくちゃ可愛い顔すんだもん」
あれはねえよ、と涼は僕の頬にキスした。
正確には、涙を軽く舐めた感じだけど。
「……かーいい」
「へっ…かわ、っ…え」
「何で俺、今まで気付かなかったんだろ」
次は、額にキス。
僕はもう混乱していて、ほてってしまっていて。
「じゃっ……じゃあ、僕、涼のことっ……まだ、好きでいて、いい……?」
「………俺こそ」
耳元に、涼の吐息がかかった。
「あやのこと、好きになってもいい?」
僕の返事は、涼の唇に吸い込まれた。
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