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side.満月



恭平を起こさないように、静かに腕のなかから抜けた。
震える足でリビングまで歩く。
ぼんやりとした光の先に見えるのは、薬の入ったラック。



(っ……はやく、)



眠らせて、と。
恭平の隣で、眠りたいのに。

頭のなかで誰かが叫ぶ。
俺の眠りの邪魔をする。

ただ、幸せな気持ちのまま、眠りたいだけなのに。



「っは、はあっ、」



用量なんて知らない。
眠れるまで、薬を飲み続けようと思った。

何度も、何粒も。
俺を、安心させて。



「げほっ、!」



くらり、と目眩がした。
咄嗟についた手は間に合わず、床に倒れこんだ。
ひどい目眩と、苦しいくらいの吐き気。
生理的に流れる涙と、震える身体の感覚だけがあった。



(………まだ)



眠れそうにない。

溢れた錠剤に手を伸ばそうとして、それを、掴まれた。



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