5
 

目を覚ますと、航が抱き締めてくれていた。

保健室にいたはずなのに、航の部屋にいて。
懐かしい匂いに、僕は少しだけ目をつむった。



「こ、う……?」
「奈津っ!」



ぎゅう、と抱きしめられた。
頭を撫でられて、僕は戸惑うばかり。

嫌いになったんじゃ、なかったの……?



「ごめん、おれ、みんな聞いた」
「え………?」
「携帯貸してって言ってきた奴がいて……メール、残ってて、それでなんかされたのかなって……問い詰めた」



航に、ばれて、しまった。



「ごめ、なさっ……ごめん、っ」
「謝んないで、俺ひどいことした」



抱き締めて、たくさんキスを落としてくれた。
涙を拭われても、あふれでてくる。



「こう、だけっ……こうが、好き…」
「ん、わかってる、俺も」
「こうー……っ」



僕はまだ、航の隣にいられるみたいだ。



「奈津、シよ?」
「っ……!」
「奈津に触りたい」
「………うん、」



航が、一番。



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